府政報告 1972 9月定例会閉会
●2010年9月定例議会が10月8日に閉会しました。「9月定例議会を終えて」、二つの議員団声明、閉会本会議での提案説明や討論、意見書案文と結果一覧を紹介します。
もくじ
2010年9月定例議会を終えて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
【声明】地方自治・住民自治を壊す、議員定数削減と関西広域連合設立案の強硬に断固抗議する・・ 3
【声明】民意を削り、行政へのチェック機能弱める「定数削減」ではなく、議員報酬の大幅削減を・ 4
議員定数条例一部改正案の提案理由説明(まえくぼ議員) ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
議員定数条例一部改正案についての討論(梅木議員) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
議案についての討論(かみね議員) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
意見書についての討論(山内議員) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
意見書案文 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
意見書案の採決結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
2010年9月定例議会を終えて
2010年10月14日
日本共産党京都府会議員団
団 長 新 井 進
9月22日に開会した京都府議会9月定例議会が、10月8日閉会した。
今議会は、長引く不況に加え、円高の影響による府民生活の深刻さの中、その対策に自治体がどう取り組むのか、また関西広域連合設立案や議員定数問題、一括交付金について等、地方自治の在り方が真正面から問われる議会であった。
我が党議員団は、地方自治・住民自治を守り、府民生活と営業を支援する立場から、攻勢的に論戦した。
1、今議会に提案された議案のうち第20号議案「関西広域連合設置に関する協議の件」及び第6号議案「京都府国民健康保険広域化等支援基金条例一部改正の件」の2件に反対し、人事案件を含む他の議案には賛成した。
1号議案「一般会計補正予算案」には、これまで我が党議員団が緊急経済対策として求めてきた、中小企業への固定費支援が、初めて実施されることとなった。しかし、「京都産業21」を通じてリースを受けた場合へのリース代助成とする限定的なもので、今後、苦境にあえぐ多くの中小業者への固定費支援策の具体化を求めるものである。また、子宮頸がんワクチン助成も実施されることとなった。しかし、自己負担が残されており、国に自己負担なしで接種できるよう求めるとともに、ヒブワクチン・七価ワクチン支援の実施や子どもの医療費助成制度拡充で通院も小学校卒業まで無料化することが必要である。鳥獣害対策も、府独自支援策が講じられることとなったが、最も必要なところに効果的な対策を講じ、農家の切実な要望に応えることが必要である。これらは、議員団の調査や運動と結んだ論戦により実現してきたものである。
なお補正予算案には、関西広域連合設立に係る分担金が含まれており、その部分には反対した。
2号議案「京都府知事の給料の月額の特例に関する条例制定の件」は、いわゆるメール問題に対する知事の責任を明らかにするため、給料1カ月分の50%減額をおこなうものである。今回の事件が公選法違反であったことは明らかであり、この程度の軽い処分で一件落着とすることは到底できず、徹底した再発防止策を求めるものである。
5号議案「京都府地球温暖化対策条例一部改正の件」については、2020年25%のCO2削減目標を達成するために実効ある抜本的な対策を講じるため、明確な削減目標をもったキャップアンドトレードを実施すること、860万トンものCO2を排出する関西電力舞鶴火力発電所の運転中止を求めること、自然エネルギー導入への本格的な支援策を講じることを求めるものである。
第6号議案「京都府国民健康保険広域化等支援基金条例一部改正の件」は、国民健康保険の都道府県単位の一元化につながるものである。これにより、市町村一般会計からの繰り入れがなくなれば1世帯平均1万円の国保料・税の引き上げになること、地域によって医療資源等が違うにもかかわらず国保料・税を無理矢理平準化するものであること、住民に身近な基礎的自治体から、住民のいのちを守るという最も大切な役割を取り上げることにつながるもので、反対した。
2、地方自治、住民自治を壊す議員定数削減と関西広域連合設立案の強行が行なわれたことは重大である。
議員定数問題では、最大2.89ともなっている「格差是正」が求められていたにも関わらず、与党会派が「選挙区・定数等小委員会」で「1増3減の定数2名削減」を提示したため、10月7日に「民意を削り、行政へのチェック機能弱める『定数削減』ではなく、議員報酬の大幅削減を」とする声明を発表し、「議会も身を切る」というのなら、「議員報酬」3分の1カットにより、3億円削減することを提起した。
また我が党議員団は、最終本会議で「京都府議会の議員の定数並びに選挙区及び各選挙区の議員の定数に関する条例の一部改正案」として、現定数を維持し、2005年度国勢調査と直近の推計人口からみて、全ての選挙区で格差2倍以下となる1増(西京区)1減(南丹市及び船井郡)案を提案した。しかし、与党会派は1増(西京区)3減(左京区、舞鶴市、南丹市及び船井郡)案を提案し採決した。これは、「定数削減ありき」であるとともに、もともと格差是正の論議を、「基数」なる別の計算方式を持ち出して、左京区をまず削減するという極めて党略的なものである。
関西広域連合設立案については、特別地方公共団体という地方自治の組織をつくるにもかかわらず、府民にほとんど知らせず、「パブリックコメント」(府民意見提出手続)や公聴会など府民に説明し意見を聴く機会に背を向けるという住民自治を踏みにじるものであり、また奈良県や三重県、京都市等が参加しないままの設立は、防災や観光など広域的な諸課題の解決に障壁をもたらすものである。さらに、審議を通じ、山田知事自身も認めたように、関西財界主導で進められ、道州制へのステップとなる危険がいよいよ明らかになった。
我が党議員団は、「関西広域連合(仮称)特別委員会」で「住民的論議をする上でも、継続審議を」と求めた。しかし、これまで反対的な意見を述べてきた自民委員や民主委員も含め、我が党以外がすべて継続審議に背を向け、採決を強行し賛成したことは、まさに知事いいなりのオール与党の姿を示したものである。ましてや議会基本条例の制定に向け、二元代表制の一翼を担う議会の役割を論議している時であり、府民的にみて到底理解が得られるものではない。
こうした中、与党会派は8項目の付帯決議を付けざるを得ないところまで追い込まれた。
我が党議員団は、与党会派がこれらを強行したことに対し、声明「地方自治・住民自治を壊す、議員定数削減と関西広域連合設立案の強行に断固抗議する」を発表した。
3、円高をはじめ、府民要求を掲げた調査にもとづく論戦により、掲げた要求の実現がさし迫った課題であることが明らかとなった議会であった。
京都市会議員団と連携し、京都市内の中小業者を訪問して円高調査をまとめ、それを開会日に記者会見で発表、さらに円高対策・中小企業支援策を京都府に申し入れた。これを踏まえ、中小企業支援や仕事おこしについて、代表質問をはじめ攻勢的に取り組んだ。こうした中、京都府も円高対策で国に申し入れざるをえなくなった。
住宅リオフォーム助成制度は、すでに実施している与謝野町や秋田県に出向いて調査した実態をもとに、実施を迫った。小規模工事希望業者登録制度も、亀岡市や埼玉県を調査し、実施を迫った。知事は「例外的には、少額な修繕等については、地域の小規模な事業者に依頼する弾力的な対応を行なっている」と答えざるを得なかった。これらを制度として確立させるため、全力を尽くすものである。
中小企業振興基本条例について、京都府のすべての中小企業を支援するため、すでに実施している千葉県の調査をふまえ、制定を迫った。知事は「中小企業応援条例を制定して、取り組んできた」と答弁したが、「応援条例が目玉としている研究開発事業で、知事の認定を受けた企業は、わずか65社」と追及した。
我が党議員団は、この秋から中小企業振興基本条例の創設のため、各種団体と懇談を重ね成立を目指すものである。
4、「地域主権」の名による医療・介護分野での新たな抑制路線の京都における具体化に対する運動と論戦がいよいよ必要であることが浮き彫りとなった。
代表質問で、京都府が進める都道府県単位の国保一元化の中止を求めたことに対し、山田知事は「保険というのはある程度規模がなければ成り立たない。保険料は平準化がなければ成り立たない」と答弁したが、これは社会保障としての皆保険制度を充実する責任を有する国を免罪するものである。高すぎる国保料や無保険者の問題など、社会保障としての国民健康保険の抜本的な改善を求めるものである。
また京都式地域包括ケアの中間案が今議会に報告されたが、来年度の介護保険制度の見直しにあたり、地域包括ケアの名で、介護給付の抑制や重点化などを行ない、サービスを在宅に重点化して、そのサービスを「自助」「互助」「共助」そして最後に限定的な「公助」で補おうとしている下で、現場の実態にあった制度構築の取り組みも求められる。
5、国への意見書について、切実な府民要求を前に、与党会派も応えざるを得ない事態となっている。「経済・雇用対策の迅速・着実な推進を求める意見書」、「B型肝炎訴訟の早期全面解決を求める意見書」、「米価下落に対する緊急対策を求める意見書」、「口蹄疫対策の充実・強化を求める意見書」、「私学教育の振興に関する意見書」、「ふぐの衛生確保対策の充実・強化を求める意見書」、「尖閣諸島海域における中国船領海侵犯に関する意見書」が可決された。
我が党議員団は、4会派提案の「地方財政の充実強化を求める意見書」は、消費税増税に道を開くものであり、また「総合的な交通対策の構築を求める意見書」は、新たな高速道路建設を推進する立場のため反対し、その他の意見書には賛成した。その結果、B型肝炎患者の裁判原告団から、全会一致で意見書が採択されたこと、及び党の努力に感謝の言葉が寄せられた。
一方、民主党会派は、我が党提案の意見書案にはすべて反対し、さらに「米価暴落に対する緊急対策を求める意見書」及び「尖閣諸島海域における中国船領海侵犯に関する意見書」に反対したが、これは府民の願いに背くものである。
住民自治と地方自治をめぐる新たな段階を迎えたことが明らかとなった議会であった。また、知事いいなりの古い「オール与党」の枠組みにしがみつき住民自治を投げ捨てる姿も浮き彫りとなった。我が党議員団は、深刻となる府民生活の願いに真正面から答え、ともに暮らしと営業・いのちを守るため全力を挙げるとともに、来春のいっせい地方選挙で、必ず前進を果たすため力を尽くすものである。
以上
【声明】地方自治・住民自治を壊す、議員定数削減と関西広域連合設立案の強行に断固抗議する
2010年10月8日
日本共産党京都府会議員団
団 長 新 井 進
本日、9月定例議会が閉会した。
最終本会議で、我が党以外の4会派提案による議員定数条例の一部改正案(1増<西京区>3減<左京区、舞鶴市、南丹市及び船井郡>)及び、関西広域連合設立案(補正予算及び規約案)が、与党会派の賛成多数により可決した。
議員定数については、これまで「法の下の平等」と「民意を正確に反映させる」ために、「1票の格差を2倍以内に是正する」ことを中心に、見直しの議論をすすめてきた。今回、是正すべき最大の問題は、最も1議員当たりの人口が少ない「南丹市及び船井郡」と最も多い「西京区」との格差が2・89倍にも開いていることであった。
ところが、4会派提案「1増3減」の問題の第一は、「議員定数削減ありき」で、府民の暮らしの願いと意思を府政に反映させるパイプを狭め、議会の機能を弱めることである。
すでに府議会法定定数は69名から7名削減し、62名となっている。その上、長引く不況と円高により府民生活が厳しくなっている中、さらに2名減員しようということは到底認められない。
また、財政難とも相まって、「議会が率先して身を切るべき」というのなら、議員報酬こそ削減すべきである。議員2名減による削減は約4400万円(報酬と政務調査費)であり、我が党議員団が提起した議員報酬3分の1削減で、およそ3億円を府民の暮らしの予算にまわすことができるのである。
問題の第二は、議員1人当たりの人口が少ない順番は、「南丹市及び船井郡」、「舞鶴市」、「南区」、「左京区」の順番であるにもかかわらず、「左京区」を先に減員するもので、極めて恣意的であり、まったく道理がないことである。4年前の定数の見直しでも、議員1人当たりの人口が少ない「南丹市及び船井郡」、「舞鶴市」、「京丹後市」の順番を無視して、「京丹後市」だけを減員したことで、京丹後の市民および議会から度重なる抗議や是正を求める意見が寄せられたが、これと同じ過ちを繰り返すものである。
「左京区」を減員する理由として、「基数」なるものが持ち出されたが、これまでの「1票の格差を是正する」という議論とは、まったく土俵の違う議論である。そもそも「基数」による議論を持ち出すなら、現在行われている国勢調査の結果を踏まえ抜本的に検討すべきである。
関西広域連合設立案については、特別委員会の議論を通じて、与党議員からも「パブコメもやられず、住民自治が問われるのではないか」「広域課題を解決するのに広域連携ではなぜだめなのか。積極的な意味がわからない」「規約案も極めて不十分」など多数の疑問が出されたもとで、我が党議員団は徹底審議と府民的意見を聴取する立場から、継続審議を求めたにもかかわらず、与党会派が審議を尽くさず採決したことは極めて重大である。
我が党議員団の反対理由は、第一に、特別地方公共団体という地方自治の組織をつくるにもかかわらず、府民にほとんど知らせず、「パブリックコメント」(府民意見提出手続)も実施せず、公聴会など府民に説明し意見を聴く機会に背を向けたまま強行するものだからである。
山田知事は、「104人の意見をもらった」と述べたが、これで府民の意見を聴取したとすることは全く根拠がなく、住民自治を乱暴に踏みにじるものである。
第二は、奈良県や三重県、京都市などの政令指定都市が参加しないもとで、強引に関西広域連合を設立することは、関西の府県、政令市の団結を壊し、広域的な諸問題を取り組んでいく大きな障害をもたらすものである。
特別委員会論議の中でも、「奈良県が参加しないもとで広域的な観光行政が取り組めるのか」「消防の指揮命令権と体制をもつ京都市や神戸市など政令市が参加しないもとで、防災や地震対策に責任を持って取り組めるのか」等の意見がだされたとおり、これまでの関西の広域的な問題の取り組みに障害をもたらすものである。
第三は、国の出先機関の受け皿にするという関西広域連合の設立は、道州制へのステップとなる危険がいよいよ明らかになってきたことである。
山田知事は、関西財界主導で検討されてきたこと、今現在も関西財界と大阪府知事が道州制へのステップと考えていることを答弁で認めた。これでは「関西広域連合が道州制に転化するものではない」と確認したと述べても、まったく歯止めにはならないことは明らかである。
我が党議員団は、地方自治、住民自治を壊す、定数削減と関西広域連合設立案の強行について、断固抗議するとともに、来春に行われるいっせい地方選挙で、府民的審判を下すため全力をあげるものである。
以上
【声明】民意を削り、行政へのチェック機能弱める「定数削減」ではなく、議員報酬の大幅削減を
2010年10月7日
日本共産党京都府会議員団
団 長 新 井 進
京都府議会は、この間「選挙区・定数等小委員会」で、「法の下での平等」「民意を正確に反映させる」ため、最大2・89ともなっている「格差是正」を中心に議論が行われてきた。
わが党議員団は、府議会の定数はすでに法定定数69名から7名減じた62名となっていることから、これ以上の定数削減は「民意を削る」こととなり、多様な府民の声を反映した議会の権能を損ねることを指摘し、定数削減は行うべきでないと主張してきた。また、「厳しい京都府の行財政の事情を踏まえて」というのなら、議員報酬こそ削減すべきと主張してきた。
ところが「小委員会」で、与党会派は「1増3減の定数2名削減」を主張した。
わが党議員団は、こうした民意を削る定数削減には反対であり、「財政問題」を理由にするのならば、府議会議員の報酬の大幅削減を提案するものである。
1、定数削減は民意を削り、行政へのチェック機能を弱めることになる。
地方自治体は、首長も議会も住民の直接選挙で選ばれる「二元代表制」をとっている。これは、住民の声を議会・議員を通じて、地方自治体の運営に反映させるとともに、首長の暴走や独断を許さないチェック機能を果たすためのものである。
議員定数の削減は、この議会の役割を後退させ、府民の暮らしや地域経済が深刻となっているもとで、多様な府民の声が反映しないゆがみを生みだすものとなる。
京都府議会は、すでに法定定数から7名も削減しており、これ以上の削減は行うべきではない。
2、「議会も身を切る」というのなら、「議員報酬」3分の1カットを
「財政が厳しいおり、議会も身を切る必要がある」として「定数削減」が強調されるが、今回の2名削減で生み出される財源は4400万円である。(報酬と政務調査費で議員一人当たり2200万円)
議員報酬については、わが党議員団はこれまでから「府民生活からかけ離れたものとならないようにすべき」と報酬引き上げには反対してきた。「議会も身を切る」というのなら、この引き上げられてきた報酬を3分の1程度削減することで約3億円の財源確保となる。
日本共産党府会議員団は、民意を削り、議会の権能を弱める議員定数削減でなく、議員報酬の3分の1削減を提案し、府民的な討論をよびかけるものである。
以上
議員定数条例一部改正案の提案理由説明
まえくぼ義由紀(日本共産党、宇治市・久御山町) 2010年10月8日
日本共産党の前窪義由紀です。
私は、わが党議員団が提案いたしました議2号議案「京都府議会の議員の定数並びに選挙区及び各選挙区の議員の定数に関する条例の一部改正案」について、提案理由の説明を行います。
京都府議会は、この間「選挙区・定数等小委員会」で各選挙区の定数について、点検・検討を重ねてきました。小委員会で私どもは、選挙区定数の格差は2倍以内が法の精神、民主主義の基本であり、議会のチエック機能を高めることや民意を正確に反映させるため、最大2,89倍となっている格差是正を基本に置くべきだと主張してきました。
さらに、わが党議員団は、府議会の総定数はすでに法定定数の上限69人から7人も減じた62人となっていることから、これ以上の定数削減は「民意を削る」こととなり、多様な府民の声を反映した議会の権能を損ねることを指摘し、定数削減は行うべきでないと主張してきました。
わが党提案の改正案は、2,89倍となっている「西京区の選挙区定数」を1人増やし、「南丹市及び船井郡の選挙区定数」を1人減じるもので、これにより定数の格差は、2005年度の国勢調査と直近の推計人口からみて、全ての選挙区で2倍以下になるものです。
現在2010年度国勢調査が実施中であることから、速報値も確定値もまだ出されていない段階での定数是正として、私ども提案の改正案は、格差是正の効果も大きく、極めて現実的な提案であります。
なお、4会派提案の1増3減、総定数2人削減案は、結果として、多様な民意の反映や議会の権能を弱めるもので賛成できません。
もとより地方自治体は、首長も議会も住民の直接選挙で選ばれる「二元代表制」をとっています。これは、住民の声を議会・議員を通じて、地方自治体の運営に反映させるとともに、首長の暴走や独断を許さないチェック機能を果たすためのものであります。
議員定数の削減は、この議会の役割を後退させ、府民の暮らしや地域経済が深刻となっているもとで、多様な府民の声が反映しないゆがみを生みだすものとなるものです。
また、総定数削減の理由に、「厳しい京都府の行財政の事情を踏まえて」という議論があります。財政が厳しいおり、議会も身を切る必要があるとして、定数削減が強調されますが、今回の2名削減した場合の財政効果は、約4400万円であります。現在、府議会議員の報酬と政務調査費は、議員一人当たり年間約2200万円であり、財政効果を期待するのであれば、議員酬酬削減にこそ踏み込むべきであります。
議員報酬についてわが党議員団は、これまでから「府民生活からかけ離れたものとならないようにすべき」と、引き上げには反対してきました。「議会も身を切る」というのなら、まず、この引き上げられてきた報酬こそ見直すべきと考えます。わが党が提起しているように、3分の1程度削減すれば、約3億円の財源確保となるものであります。
京都府議会は、すでに法定定数から7人も削減しており、これ以上の削減を行う理由は見い出せません。よって、議員総定数削減ではなく、現行62人の総定数を維持し、1票の格差是正を図ろうとするわが党提案の改正案について賛同を求め、提案理由の説明とします。
議員定数条例一部改正案についての討論
梅木のりひで(日本共産党、京都市左京区) 2010年10月8日
日本共産党の梅木紀秀です。ただいま議題となっております「京都府議会の議員の定数並びに選挙区及び各選挙区の議員の定数に関する条例の一部改正案」について、わが党議員団提案の「西京区」の定数を1名増員し、「南丹市及び船井郡」の定数を1名減員する案に賛成し、自民党はじめ4会派提案の「西京区」を1名増員し、「左京区」、「舞鶴市」、「南丹市及び船井郡」を各1名減員する案に反対する立場から、討論を行います。
これまで、本府議会は、定数の改正にあたっては、「法の下の平等」と「民意を正確に反映させる」ために、「1票の格差を2倍以内に是正する」ことを中心に、見直しの議論をすすめてきました。今回、是正すべき最大の問題は、最も1議員当たりの人口が少ない「南丹市及び船井郡」と最も多い「西京区」との格差が2・89倍にも開いており、これを是正することであります。そのため、わが党議員団は、「西京区」を1名増員し、「南丹市及び船井郡」を1名減員することを提案し、格差を2倍以内にしようというもので、府民の1票の権利を平等に保障し、地方自治を守る立場から道理の通った現実的な提案であることは、前窪議員の提案説明のとおりです。
これに対して、自民党はじめ4会派案の問題点は、第一に「議員定数削減ありき」で、府民の意思を議会と府政に反映させるパイプを狭め、議会の機能を弱めるということです。長引く不況と円高で、中小業者の営業は深刻さを増しています。働く人たちの所得は下がる一方で、米価の下落、木材価格の低迷で、農業も林業も深刻な事態に陥っています。さらに介護や福祉、医療、教育や子育て支援をはじめ、府政の課題は山積しています。わが党府会議員団は、深刻さを増す府民の暮らしと営業の現場に出向き、直接府民の声を聞き、その実態調査を踏まえて、議会で積極的な政策提案を行ってきました。その立場からすれば、もっと府議会で、「府民のくらしと営業の実態を踏まえた議論を」という思いを強めこそすれ、府民と議会のパイプを細くする「定数削減ありき」の4会派案は、到底納得できるものではありません。おりしも、現在、議会の権能と議員の活動を強化し、府民の付託にこたえることを目的に「議会基本条例」を制定すべく、検討をすすめているところであります。「二元代表制」の原則の下に、地方自治と住民自治を発展させようと新たなスタートを切ろうという、まさにその時に、議会の機能を弱める「定数削減」を提案するとはどういうことか、まったく理解に苦しむものであります。法定定数69名からすでに7名削減し、府民と議会のパイプは細まっています。それをさらに2名減員しようという4会派案には、反対です。
財政難の折、「議会が率先して身を切る」などと言いますが、2名減員で浮くお金は4400万円です。しかも議員1人1人の収入はまったく減らず、議員自身は「身を切る」ことにはなっていません。「身を切る」というならば、議員報酬こそ削減すべきです。その立場から、昨日、わが党議員団として、議員報酬の3分の1を削減するよう提起したところです。これによって、およそ3億円を府民の暮らしの予算にまわすことができます。
4会派案の第2の問題点は、この案が極めて恣意的で道理のない提案であるということです。4会派が減員しようという選挙区は、「左京区」、「舞鶴市」、「南丹市及び船井郡」ですが、議員1人当たりの人口が少ない順番は、「南丹市及び船井郡」、「舞鶴市」、「南区」、「左京区」の順番であります。それを、「南区」を飛び越えて「左京区」を先に減員するという提案は、恣意的であり、まったく道理がありません。4年前の定数の見直しでも、議員1人当たりの人口が少ない「南丹市及び船井郡」、「舞鶴市」、「京丹後市」の順番を無視して、「京丹後市」だけを減員したことで、京丹後市民および議会から度重なる抗議や是正を求める意見が寄せられてきたところです。4会派案は、再び、この過ちを繰り返そうというものであります。
「左京区」を減員する理由として、「基数」なるものが持ち出されましたが、これは、これまでの「1票の格差を是正する」という議論とは、まったく土俵の違う議論です。「基数」による議論を持ち出すならば、「すべての選挙区について、人口を基礎にした定数に再配分すべき」という、まったく新しい土俵での議論を行うのかどうか、出発点から確認しなければならないのです。そして、検討をはじめるのならば、現在行われている国勢調査の結果を踏まえて抜本的に検討すべきなのです。ところが、その「基数」を、恣意的に持ち出し、南区を飛び越えて左京区を減員する理由にするという4会派案は、道理がなく府民の合意を得られるものではありません。とりわけ、4会派案で順番を飛び越えて減員となる左京区民には、とうてい納得できるものではありません。その左京区民を代表する一議員として、4会派案に「断固反対」の意思を表明するとともに、この審判は来春、左京区民自身が下すであろうことを確信し、私の討論を終わります。
議案についての討論
かみね史朗(日本共産党、京都市右京区) 2010年10月8日
日本共産党のかみね史朗です。私は、議員団を代表して、第20号議案、関西広域連合設置に関する協議の件、第6号議案、京都府国民健康保険広域化等支援基金条例一部改正の件の2件に反対し、その他の議案に賛成する討論を行います。
まず第1号議案、平成22年度京都府一般会計補正予算案についてです。関西広域連合の分担金以外は賛成でありますが、いくつか意見を述べ要望いたします。
第一に、円高不況対策ですが、深刻な影響について特別の実態調査を行うとともに、緊急対策の拡充が必要です。今回、産業21の設備貸与のリース代への助成が予算化されました。これはわが議員団が再三提案してきたものであり一定評価いたしますが、不況に苦しんでいるのはすべての町工場であり、そのリースを対象に助成を拡充するよう求めるものであります。さらに、仕事おこしに効果のある住宅リフォーム助成を検討するとともに、公募型公共事業については地元中小企業に仕事を回す仕組みをつくること、そのために小規模工事希望者登録制度を検討するよう改めて求めるものであります。
第二に、子育て支援の対策ですが、子宮頸がんワクチンへの助成に続き、髄膜炎から子どもの命を守るためにヒブ・七価ワクチンへの助成を行うこと、子どもの医療費助成制度についても拡充は待ったなしであり、通院の医療費を小学校卒業まで拡大することを早期に実施するよう求めるものであります。
第三に、鳥獣害対策については、営農一体型、広域的対策に限定せず、最も必要なところに効果的な対策を講じ、農家の切実な要望に応えるよういっそうの努力を求めるものであります。
次に、第5号議案、京都府地球温暖化対策条例一部改正の件は賛成でありますが、2020年25%のCO2削減目標を達成するために実効性のある抜本的な対策を講じることが必要です。第一に、明確な削減目標をもったキャップアンドトレードを実施すること。第二に、関西電力の舞鶴火力発電所の運転は京都府民のCO2削減の努力を無にしかねないほどのものであり、運転中止を求めること。第三に、今こそ京都府として自然エネルギーの導入に全力を注ぐことなどを求めるものであります。
次に、京都府知事の給料の月額の特例に関する条例制定の件です。これは、いわゆるメール問題に対する知事の責任を明らかにするため、給料1カ月分の50%減額をおこなうものであり、賛成でありますが一言指摘をしておきます。今回の事件が公選法違反であったことは明らかであり、選挙動員のためのメールを発信した知事室長が停職処分となり、退職に追い込まれたことと比べ、知事の処分は軽いと言わざるをえません。関係者の聞き取り調査も不十分であり、この程度の処分で一件落着では「納得できない」との声が上がっています。この際、徹底した再発防止策を強く求めておきます。
次に、第6号議案、京都府国民健康保険広域化等支援基金条例一部改正の件でありますが、市町村国保を京都府一本に広域化することにつながるものであり反対であります。
知事は、「非常に弱体化した財政基盤の中で多くの高齢者を抱えた市町村が本当に国保というものをやっていけるのか」といいましたが、そんな弱体化した財政基盤にしたのは誰なんですか。国が補助金を50%から25%に削減したからであり、京都府が市町村への独自補助を打ち切り追い打ちをかけたのではありませんか。今知事がやるべきは、市町村と共同して、国民健康保険に対する国庫補助金の大幅増額を強く求め、国に向かってしっかりものを言うことではありませんか。
知事は、「保険というのはある程度規模がなければ成り立たない。保険料は平準化がなければ成り立たない」と言いました。国民健康保険は単なる保険ではありません。社会保障であります。社会保障としての皆保険制度を充実する基本的な責任は、憲法の25条に明記されているように国にあるのです。だからこそ、国にその責任を求めることが最も大切なことなのであります。国の責任と負担を棚上げにし、広域化、平準化すれば、住民負担がますます増大し、社会保障としての国民皆保険制度を崩壊させることになるのであります。
同時に、国民健康保険事業という住民のいのちと健康を守る仕事は、住民福祉の増進をはかるべき市町村の基本的な仕事であります。だからこそ、市町村では保険料の値上げを抑えるため、一般会計から繰り入れるなど、きめ細かく住民の命と健康を守るために努力しているのであります。国保の広域化と平準化は、こうした市町村の努力をないがしろにするものであります。
最後に、関西広域連合設立の問題です。特別委員会の議論を通じて、与党議員からも「パブコメもやられず、住民自治が問われるのではないか」「広域課題を解決するのに広域連携ではなぜだめなのか、積極的な意味がわからない」「規約案についも極めて不十分」など多数の疑問が出されましたが、理事者からは納得のいく説明がほとんどなされませんでした。わが議員団は、こうした状況の下で、徹底的な審議が必要であり、パブリックコメントをはじめ公聴会の開催など住民自治を保障する最大限の取り組みを行うべきであり、そのためには少なくとも9月議会で強引に採決するのでなく継続して審議すべきであると主張してきました。しかし、与党会派は、住民自治に問題があるなどと根本的な問題点を指摘しながら、審議を尽くさなかったことは極めて遺憾であります。本来は継続審議にすべきであることを強く指摘しておきます。
関西広域連合設置に関する協議の件に対するわが党議員団の反対理由は、第一に、特別地方公共団体と言う地方自治の組織をつくるにもかかわらず、府民にほとんど知らさず、パブリックコメントもやらず、公聴会など府民に説明し意見を聴く機会すら拒否して強行することであり、到底認められないのであります。
知事は、104人の意見をもらいほぼ広域連合に賛同していただいていると述べましたが、特別委員会の論議の中で、ドクターヘリを運航するのに、なぜ広域連携でなく広域連合でなければ責任ある運営ができないのか明確に理解して出された意見でなかったことが明らかになりました。100人の意見だけで府民が賛成してくれていると言う知事の発言は、まったく根拠がないのであります。
知事は、地方自治とは住民自治と団体自治がある、住民自治を大事にしなければならないと再三胸を張って答えてきましたが、住民不在で新たな特別公共団体の設立を決定するやり方がどうして住民自治と両立するのですか。
住民自治とは、住民自身が自分の地域と行政の在り方をきめることであり、団体自治は、その住民の権利ととりくみを保障し、住民の総意に基づいて行政をすすめていくということであります。今回の本府のやり方は、住民自治を乱暴に踏みにじるものであります。
関西広域連合で住民自治がどう保障されるのかも大変疑問です。2000数百万人の人口を持つ巨大な自治体が本当に住民の自治組織と言えるのでしょうか。知事は、関西広域連合議会の京都府分の議席は配慮されたといいますが、たった3議席で京都府民の民意が反映できるのでしょうか。また府議会の中での少数意見が反映されるのかも疑問です。
第二に、奈良県や三重県、京都市などの政令指定都市が参加しないもとで、強引に関西広域連合を設立することは、関西の府県、政令市の団結を壊し、広域的な諸問題を取り組んでいく大きな障害をもたらすものであります。
特別委員会の論議の中で、奈良県が参加しないもとで広域的な観光行政が取り組めるのかとの質問に、理事者は「奈良県が参加しなくてもできる」と明言しましたが、どうして奈良県が参加しなくても広域的な観光行政ができるのですか。どうしてこれで責任あるとりくみができるといえるのでしょうか。
防災や地震対策でも同様です。消防の指揮命令権と体制をもつ京都市や神戸市など政令市が参加しないもとで、防災や地震対策に責任を持って取り組めないことは明瞭です。
関西の広域的な問題の取り組みに逆に障害をもたらす広域連合の設立を強行すべきではありません。
第三に、国の出先機関の受け皿にするという関西広域連合の設立は、道州制へのステップとなる危険がいよいよ明らかになってきました。知事は、今回の関西広域連合が関西財界主導で検討されてきたこと、今現在も関西財界と大阪府知事が道州制へのステップと考えていることを答弁で認めました。「関西広域連合が道州制に転化するものではない」といくら言っても、まったく歯止めにはならないのであります。
そもそも、道州制とは、国の形、地方自治を変えてしまう議論と一体であります。国の役割は防衛や外交、マクロ的な経済対策に限定する。社会保障や教育、地域経済、住民生活は市町村が責任を持つようにする。したがって都道府県をなくし、道州制によって、広域行政を取り仕切り、特に財界が求める大規模事業や開発に都道府県の財源を重点投入しようとする考え方であります。この議論は、憲法で定められた国の社会保障増進の義務や教育、基本的人権を保障する責任を投げ捨てるものであり、「地方主権」の名のもとに財政力のない市町村と住民生活を切り捨て、住民自治と地方自治を否定するものであるといわなければなりません。
今回の関西広域連合設立は、憲法と地方自治、住民生活を破壊する道州制のステップであり、断固反対するものであります。
近畿ブロック知事会のメンバーである福井県は関西広域連合に参加しません。そのことについて、福井県知事の西川一誠氏は、毎日新聞10月5日付でこのように語っています。
「どうしても大都市が中心になると予想され、今の段階では新たな負担をしてまで組織的に対応するメリットが感じられないからです。道州制との整理ができていないことも気になります。住民の意思を丁寧に組み上げるためには地方自治が必要です。共通の文化・歴史・価値観を持つ圏域としての意思決定の仕組みがなければ民主主義は成り立たない。道州制の根本は大都市を中心に勢力範囲を広げる拡張的思考です。福井のような周辺部に位置する住民の意思が反映されにくいシステムになることは間違いありません。国民の圧倒的大多数が愛着を感じている現在の府県制は、民主主義の土台なのです」。
同じく関西広域連合に参加しないことを表明している奈良県の荒井知事は、県議会でこのように述べておられます。関西広域連合は「屋上屋を架すもので」あり、「提案されている業務はすべて広域連携で実施可能であり、現にすでにおこなっているものがほとんど」である。「住民への行政はできるだけ住民に近い行政組織で行うべきであり、今後大きな権限が広域連合に移っていくことになれば地方自治、地方分権に反しているように思う」。
地方自治に対する福井県知事や奈良県知事のこういう考え方こそ、大事であると確信するものであります。
従って、第20号議案、関西広域連合設置に関する協議の件と、第1号議案、平成22年度京都府一般会計補正予算案中の関西広域連合分担金には反対であります。
以上で、私の討論を終わります。
意見書案についての討論
山内よし子(日本共産党、京都市南区) 2010年10月8日
日本共産党の山内よし子です。ただいま議題となっております意見書案12件のうち4会派提案の意見書案「地方財政の充実強化を求める意見書案」と「総合的な交通対策の構築を求める意見書案」2件に反対し、他の10件の意見書案に賛成の立場で討論を行います。
まずわが党提案の一括交付金化の中止を求める意見書案についてです。
民主党は地方向け補助金を「ひも付き補助金」と呼びますが、その圧倒的部分は、法律で国に負担を義務付けた福祉・教育関係費です。 民主党の小沢前幹事長は「補助金を一括交付金化すれば、現在の6、7割に減らせる」と発言しているとおり、一括交付金化で国の補助金を削減することを狙ったことは明らかです。福祉や教育などの最低水準を確保することも難しくなり、地域格差は広がらざるをえません。
昨年の総選挙で国民はくらしと地方切り捨ての「構造改革」路線にノーの審判を下しましたが、一括交付金化は、「構造改革」路線への逆戻りといわなければなりません。福祉・教育に対する国の責任を後退させず、地方財源を保障することこそ求められています。 ぜひ同僚議員の皆さんのご賛同をお願いします。
なお4会派提案の「地方財政の充実強化を求める意見書案」について、「所得・消費・資産のバランスがとれた国と地方を通じた税制の抜本的な対策を進める」とあり、消費税の増税に道を開くもので反対です。
次に、わが党提案の「円高対策・中小企業支援を求める意見書案」についてです。
わが党議員団はこの間京都市会議員団や府内各地の共産党議員団と連携して、府内の中小零細業者の実態調査を行ってきました。
「リーマンショック以降赤字が続き、今年の6月から8月の黒字でこれまでの赤字を埋めているが、いつまで続くのかまったく先が読めない」「ネクタイの注文が増えるこの秋・冬に円高の影響で輸出ゼロの可能性がある」など大きな不安の声がよせられています。
中小企業はものづくりの技術においても、また雇用の創出という点でも、地域経済の土台を支える役割を担っています。しかしリーマンショックに続く円高の影響で今をのりきることができるかどうか、瀬戸際に立たされているのです。本意見書案はこうした中小企業に対する緊急対策を5点にわたって求めるものであり、みなさんの賛同を求めるものです。
なお4会派提案の「経済・雇用対策の迅速・着実な推進を求める意見案」について中小企業の支援や雇用対策に触れられているので賛成です。
なおわが党提案の意見書案でも述べられているとおり、急激な円高の背景には、大企業が下請け単価たたきや低賃金・不安定雇用の拡大など、国際競争力が強化され、歴代政府が大企業減税などでそれを後押ししてきた経過があります。政府はさらに法人税の5%の引き下げを公言していますが、大企業は手持ち資金を52兆円に、内部留保は244兆円に拡大しており、こうしたところに減税を行っても、さらに内部留保が拡大するだけです。本日の朝日新聞にも、民間機関の11000社の調査で、約4割が減税分を「内部留保や借金の返済に使う」と答え、さらに民主党のヒアリングでも減税分を前向きに使いたいと答える経済人は見られなかった、との記事がありました。 そういう点では内需を温め家計を応援する政治に転換することが必要だと言うことを申し上げておきます。
次に4会派提案の「B型肝炎訴訟の早期全面解決を求める意見書案」についてです。
わが国にはウィルス性肝炎患者・キャリアは300万人を超え、この内B型肝炎患者がおよそ120万人から140万人もいると言われており、本府においても多くの患者とその家族が苦しんでいます。このうち集団予防接種によるB型肝炎被害者が国に損害賠償を求めた訴訟の最高裁判決が言い渡され、国の法的責任が確定しました。ところが国は迅速に被害者全員を救済するための施策をとることを怠り、被害者を冷たく放置したのです。また札幌・福岡両地裁が行った和解勧告には応じたものの、和解金額、キャリアに対する考え方、母子手帳に代わる立証方法などを示しましたが、まったく不十分で、被害者の多くを切り捨てるとともに賠償額を不当に低く押さえ込むものといえます。国は被害者を救済する立場で和解に応じることが必要です。
昨年末には「肝炎対策基本法」も制定されましたが具体化が遅れています。
わが党議員団は長年にわたり薬害肝炎訴訟の支援活動も行ってまいりましたが、今重大な局面を迎えているのがB型肝炎訴訟の全面解決と被害者のまったなしの救済です。今議会にはB型肝炎の患者の皆さんから陳情が出され、それにもとづいて意見書が出されたものであり、賛成です。
次にわが党提案の「私学助成充実に関する意見書案」についてです。
私学教育は公教育の重要な一翼を担っており、本府においても高校生の約4割が私学で学んでいます。
公立私立を問わず、全ての子どもたちにゆきとどいた教育を保障することは当然です。とりわけ今回京都府私立中学高等学校連合会から出された要望には「万難を排し私学助成に係る国庫補助制度が堅持」されることが強調されているように、国の責任で私学教育を振興させるためには地方まかせにせず、国がしっかりと責任を果たすべきです。わが党提案の意見書は、私学助成に係る国庫補助制度の堅持と拡充を国に求めるものであり、みなさんの賛同を求めるものであります。なお4会派提案の私学教育の振興に関する意見書案には国庫負担の堅持の項目がありませんが、国に私学教育振興の一層の充実を求めるものであり、賛成です。
次に自民・公明・創生フォーラム3会派提案の米価下落に対する緊急対策を求める意見書案についてです。
今、農村では稲刈りも終わりに近づいていますが、農家にとって収穫のよろこびを感じられない秋となっています。新米の出荷が始まり、JAの概算払い額が発表されていますが、3年連続特Aの丹後コシヒカリでさえ1俵1万円、昨年比3000円の大幅下落で、生産費も大きく割り込むこうした価格では到底やっていけないという声がよせられています。
これは全国的にも同様で、生産費を大幅に下回る米価では農家経営は成り立ちません。離農、耕作放棄が急増し、農業、農村の崩壊を招くことは必至です。米の再生産を保障することは、地域農業と農村を守る最重要課題です。
全中も早くから過剰米対策や備蓄制度の改善とその前倒し実施を強く求めています。
意見書案は食糧自給率の向上と米価の下落に対する緊急対策を国に要望するものであり、賛成です。
次に4会派提案の「総合的な交通体系の構築を求める意見書案」についてです。
地域公共交通の確保と利便性の向上、また駅や道路のバリアフリー化については当然必要なことと考えますが、本意見書案には同時に「高速道路等により機関ネットワークを構築し、国際競争力の向上に資する社会基盤づくりを推進することの必要性が述べられています。
これは日本の財政を悪化させ、環境を破壊してきたムダな大型公共工事を容認、推進するものであり、到底賛成することはできません。また意見書案には「地球温暖化対策の観点から、環境負荷の少ない低炭素社会実現のための、モーダルシフトを推進」とありますが、温暖化対策をうたいながら、なぜ高速道路網を張りめぐらさなければならないのでしょうか?
地球温暖化対策にも逆行し、ムダな大型公共工事を推進する意見書には反対です。
次に自民・公明の2会派提案の尖閣諸島海域における中国漁船領海侵犯に関する意見書案について、賛成の立場で意見を述べます。
わが党はすでに1972年に「尖閣諸島問題に関する日本共産党の見解」を発表し、歴史的にも国際法上も尖閣諸島が日本の領土であることを主張してまいりました。 さらに先日、中国側の、日清戦争に乗じて日本が中国から奪ったものであるという主張にたいしても、日清講和条約とそれにかかわる交渉過程の詳細な検証を踏まえて日本の領土であることを明らかにしました。
そもそも尖閣諸島は1884年に日本人の古賀辰四郎が探検し、その後日本が沖縄県を通じてたびたび調査し、1895年の閣議によって日本領に編入し、その後、国際的にも日本の領土として認められてきたものです。 中国が尖閣諸島の領有権を主張しはじめたのは、国連が、石油天然ガスの海底資源が豊かに存在する可能性を指摘したあとの、1970年代に入ってからです。
それまでは中国の地図にも中国の領海外と記載されており、また中国が法律で尖閣諸島を中国領と書き込んだのも1992年になってからのことです。尖閣諸島をめぐる紛争問題を解決するために、何よりも重要なことは、日本政府が、尖閣諸島の領有の歴史上、国際法上の正当性について、国際社会および中国政府にたいして、理を尽くして主張することです。
この点で、歴代の日本政府の態度には、1972年の日中国交正常化以来、本腰を入れて日本の領有の正当性を主張してこなかったという弱点があります。 今回の事件でも、民主党政権は「国内法、司法で対処する」というだけで、肝心の外交的主張を怠ってきました。本意見書案は尖閣諸島が日本の領土であることを中国政府だけではなく諸外国に改めて示すことを求めるものであり、賛成です。また漁業者の安全を確保することも当然必要です。なお中国政府に対しては話し合いによる平和的解決を求めることが必要であると言うことも申し上げて、意見書討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。
意見書案文
可決(自民・民主・公明・創生 提案、賛成:自民・民主・公明・創生、反対:共産)
地方財政の充実・強化を求める意見書
我が国経済は、一昨年秋の「百年に一度の経済危機」の影響を受けて以来、現下の厳しい雇用情勢に見られるとおり、いまだ順調な回復軌道に乗ったとは言い難い状況にあり、地域の雇用確保、社会保障の充実など、地域のセーフティネット機能を果たす地方自治体の役割はますます重要となっている。
特に、地域経済と雇用対策の活性化が求められる中で、介護・福祉施策の充実、農林水産業の振興、クリーンエネルギーの開発など、雇用確保と結びついたこれらの政策分野の充実・強化が求められている。平成22年度予算において、地方交付税が前年度比1.1兆円増加されたことは、三位一体改革で深刻な影響を受けた地方財政に対し、政府が地方交付税の充実という地方団体の要望に応えたものとして評価はされるものの、依然として厳しい財政運営を強いられている。
ついては、国におかれては、平成23年度予算編成に当たり、地方財政予算全体の安定確保に向けて、次の取組を推進されるよう強く求める。
1 医療、福祉分野の人材確保をはじめとするセーフティネット対策の充実、農林水産業の再興、環境対策、中小企業・経済対策など、今後増大する地方の財政需要を適切に積み上げた地方財政計画を策定すること。
2 地方財源の充実・強化をはかるため、国・地方の税収配分5:5をめざした地方財源の充実強化と納税者の納得や理解を得て、所得・消費・資産のバランスがとれた国と地方を通じた税制の抜本的な対策を進めること。
3 地方自治体の自主的かつ安定的な財政運営に配慮し、その自律性が確保されるよう努めること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
可決(自民・民主・公明・創生 提案、賛成:全会派)
ふぐの衛生確保対策の充実・強化を求める意見書
ふぐは、縄文時代にも食されていることが確認されるなど、古代から食材として活用されてきた歴史を持ち、今日、ふぐ料理は、我が国の食文化を担う上で、なくてはならないものである。一方、ふぐには、内臓等に青酸カリの約1000倍とも言われる有毒成分テトロドトキシンが含まれていることから、食中毒防止のための適切な処理が厳格に求められている。
各都道府県等では、従前から、ふぐの取扱いに関する基準を示した厚生省局長通知「フグの衛生確保について」に基づき、条例、要綱等を定め、知事の免許を受けたふぐ処理者のみがふぐの処理を行うことができることなど、細部にわたり、ふぐの取扱い等に関する規制を行っているところである。
しかしながら、昨今は、ふぐの保存技術の向上等により、有毒部位を除去した「処理済みふぐ」が全国に多数流通することとなり、消費者に対してどこで誰が有毒部位を除去したかなどの情報が十分に提供されていない状況にある。
また、輸入ふぐについては、厚生省課長通知「輸入フグについて」に基づき、輸入フグ検査指針を定めて監視されているところであるが、国内での流通量が年々増加する実態にある中、「処理済みふぐ」に関し、海外での有毒部位の除去処理が的確に行われているかどうかを十分確認すべきであるとの指摘もなされるなど、新たな課題が生じてきているところである。
ついては、国におかれては、食の安心・安全の観点から、著しく変化するふぐの流通実態に的確に対応した衛生確保対策として、次の事項に早急に取り組まれることを強く要望する。
1 国内で流通する「処理済みふぐ」に関し、処理を行った業者及びふぐ処理者等の表示の徹底、並びにふぐ処理者の処理技術の更なる向上
2 海外で処理されたふぐの安全性を確保するため、国内での対応に準じた規制制度の構築
以上、地方自治法第99 条の規定により意見書を提出する。
可決(自民・民主・公明・創生 提案、賛成:全会派)
B型肝炎訴訟の早期全面解決を求める意見書
我が国のB型肝炎患者・感染者は120万人から140万人いると推定されている。B型肝炎は慢性肝炎から肝硬変、肝がんに進行し、あるいは慢性肝炎を経ずして突然肝がんを発症することもある極めて深刻な病気である。
B型肝炎訴訟は、B型肝炎患者・感染者が、B型肝炎ウイルスに感染した原因は注射針・筒を連続使用した集団予防接種にあるとして、国を被告に損害賠償を求めた裁判である。
平成18年6月16日の最高裁判決では、B型肝炎ウイルスに感染した5人の原告について、国の行政責任が認められた。その後、被害者全員の救済を求め、本年6月2日現在、452人が10地裁で係争中であり、うち、札幌、福岡両地裁において、本年3月に和解勧告がなされ、4月には大阪地裁も和解による解決を促したところであるが進展していない。
原告のみならず、多くの肝炎患者は、今後の症状悪化に対する不安や、多額の治療費の自己負担額、そしていわれなき差別・偏見に苦しみながら日々生活している。原告のうち既に10人が亡くなられており、救済まで一刻の猶予もない。
よって、国におかれては、B型肝炎訴訟の早期全面解決を図るため、以下の取り組みを進めるよう強く要望する。
1 国は、集団予防接種による注射器の使い回しによって被害を受けた被害者が原告となったB型肝炎訴訟において、被害者に謝罪し、被害者全員を速やかに救済すること。
2 国は、肝炎患者にとって経済的負担の心配がない医療費助成制度の整備を進めること。
3 肝炎患者に対する差別・偏見をなくすための正しい知識の啓発活動を進めること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
可決(自民・民主・公明・創生 提案、賛成:全会派)
口蹄疫対策の充実・強化を求める意見書
本年4月20日に宮崎県内で発生が確認された口蹄疫は、現地での懸命な防疫措置にもかかわらず、猛威をふるい、約29万頭の牛や豚などの家畜が殺処分されるなど、地域の畜産経営のみならず地域経済全体に壊滅的な被害を与えるとともに、我が国の畜産業に深刻な影響をもたらした。
4ヶ月あまりという長期間に及ぶ苦闘の末、8月27日に宮崎県から終息宣言が出されたところであるが、同県、並びに隣接する鹿児島県、熊本県の畜産業の復興再生は緒に就いたばかりである。
国は、今回の事態を教訓とし、口蹄疫対策を国家的な危機管理の問題として捉え、被害地域の復興再生に責任を持って取り組むことはもとより、同様の被害が二度と起こらないよう、万全の対策を講じなければならない。
ついては、被害地域の復興再生と再発防止に向け、次の対策を早期に推進されるよう強く要望する。
1 本年6月に施行された口蹄疫対策特別措置法の完全実施を進めるとともに、畜産業の経営再建及び地域再生のため必要な措置を講じること。
2 今回の口蹄疫発生の原因究明はもとより、初動態勢やまん延防止策等の検証とその情報提供に努め、再発防止に万全を期すこと。
3 畜産の経営実態に即した家畜伝染病の防疫体制、被害農家の経営再建のための支援等を内容とする家畜伝染病予防法の抜本改正を早期に行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
可決(自民・民主・公明・創生 提案、賛成:自民・民主・公明・創生、反対:共産)
総合的な交通体系の構築を求める意見書
現在、国土交通省において、国民が安全で快適に移動する権利の保障などを目的に、総合的な交通政策の推進を図る「交通基本法(仮称)」の制定準備が進められている。
人口減少・少子高齢化が急速に進展する我が国において、健康で文化的な最低限度の生活を営むために必要な移動手段を確保するため、鉄道やバス等「生活の足となる」地域公共交通の確保と利便性の向上はもとより、駅や道路などのバリアフリー化の推進は、ますます重要となっている。
また、今ある資産を有効に活用するためにも、ミッシングリンクの早期解消に努めるとともに、主要都市・空港・港湾等を結ぶ高速道路等による基幹ネットワークを構築し、国際競争力の向上に資する社会基盤づくりを推進することが、求められている。
更には、地球温暖化対策の観点から、環境負荷の少ない低炭素社会実現のため、モーダルシフトを推進するとともに、公共交通基盤の整備とその利用促進に向けた総合的な交通政策の展開は、喫緊の課題である。
このようなことから、国においては、これらの課題に対し、予算の重点配分を図るなどの適切な財政措置を講じることが、強く求められている。
ついては、国におかれては、基本法の検討に当たり、活力ある地域社会の実現と多くの国民の社会参加の促進に大きく寄与するような交通環境の整備が図られ、我が国における実効ある総合的な交通体系が構築されるような基本法とされるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
可決(自民・公明・創生 提案、賛成:共産・自民・公明・創生 反対:民主)
米価下落に対する緊急対策を求める意見書
近年の米価は、生産コストを大幅に下回る水準にあり、稲作農家に深刻な影響を与えている。
特に、22年産米価は、21年産米の過剰在庫、需要見通しの下方修正、今年産米の生産過剰と所得補償モデル対策の固定払いを織り込んだ米価下げ圧力が加わり、全農等の新米に対する概算金が60キログラム当たり前年対比 2,000円から3,000円も低下している。
このような状況が続けば、農村地域の効率的生産性を確保するための集落営農や中核的農家において、経営がたちゆかなくなる恐れがあり、農家経営のみならず、地域経済にも重大な影響が心配される。
さらに、農家の離農や耕作放棄地が加速的に増加し、農業・農村の崩壊を招きかねない危機的な事態となることが懸念される。
昨今、国際的に異常気象等の影響で、穀物生産の不安定化と価格高騰など世界の食料事情は大きく変化してきており、国民への食料の安定供給の確保と食料自給率の向上に取り組む必要がある。
よって、国におかれては,米の再生産を確保し地域農業や地域経済を維持・発展させる観点から、過剰米の買い入れをはじめ、米価の下落に対する緊急対策を直ちに講じられるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
可決(自民・公明 提案、賛成:共産・自民・公明・創生のうち3人、反対:民主)
尖閣諸島海域における中国漁船領海侵犯に関する意見書
去る9月7日、尖閣諸島の久場島沖の日本領海内において、違法操業をしていた中国漁船が、停船を命じた第11管区海上保安本部の巡視船に衝突し、海上保安官の職務を妨害したため、漁船の船長を公務執行妨害容疑で逮捕するという事件が発生した。
事件発生以降、中国政府は日本政府に対し、執拗な抗議を行うとともに、官民の交流停止など、日中間の信頼関係を損なうような対抗措置を続けるのみならず、那覇地方検察庁が中国人船長を処分保留のまま釈放した後も、何ら根拠のない謝罪と賠償を要求している。
尖閣諸島が、我が国固有の領土であり、その周辺海域が我が国の領海であることは、歴史的にも国際法上も疑いのないところであり、同諸島をめぐり解決すべき領有権の問題は存在していない。しかるに、今回のような状態を放置すれば、我が国の領土の保全や漁業者の利益・安全が守られないなど、極めて憂慮すべき事態を招く恐れが高く、看過することができない。
よって、国におかれては、国民の利益を守り、安心・安全を確保するため、尖閣諸島が我が国固有の領土であるという毅然たる態度を、中国政府をはじめ諸外国に改めて示すとともに、同諸島周辺海域において、我が国漁業者の操業の安全と船舶の自由かつ安全な航行を確保するとともに、我が国の天然資源や海洋資源が損なわれることのないよう、適切な措置を講じられることを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
否決(共産提案、賛成:共産、反対:自民・民主・公明・創生)
私学助成充実に関する意見書(案)
私立学校は各校の建学の精神に立脚し、公教育の一翼を担い、その進展に寄与している。
一方、昨今の経済状況の悪化の中、経済的な事情で中途退学せざるを得ない深刻な事態が多数生まれ、生徒・保護者だけではなく私学経営者からも私学の学費負担の軽減を求める声が大きくなっている。
その結果、国において高校無償化の方針の下、公立高校の授業料の不徴収と私立高校の保護者に対する支援金支給の措置がとられた。しかし、私立高校においては未だに大きな授業料等負担が残ること、授業料以外の教育費の負担軽減策がないことなど、学ぶ権利の保障という点で不十分である。
また、少子化の影響による生徒数の大幅な減少等によって、財政基盤の弱い私立学校の経営も困難に直面している。私立学校振興助成法には、教育条件の維持向上と修学上の経済的負担の軽減を図ることが明示されており、国において授業料軽減措置や奨学金制度の改善など、私学助成の一層の拡充を図ることがますます肝要となっている。
よって、国におかれては、私立学校教育の現状と重要性を認識され、私学経営の安定と、保護者負担の一層の軽減をはかるため、私学助成に係る国庫補助制度を堅持し、その拡充を図られるよう強く求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
可決(自民・民主・公明・創生 提案、賛成:全会派)
私学教育の振興に関する意見書
京都府の私立学校は、各校の建学の精神に立脚し、新しい時代に対応する特色ある教育を積極的に展開するなど、本府の公教育の発展に大きく寄与している。
しかしながら、一方で、本年度より実施されている公立高校授業料の無償化に加え、少子化による生徒数の大幅な減少の影響等により、私立学校の経営は、過去に例を見ない厳しい状況に直面している。
我が国の教育の将来を思うとき、公私あいまっての教育体制が維持されてこそ教育水準の向上と公教育の健全な発展が可能となり、個性化、多様化が進む時代にあって、将来を担う人材の育成という要請にも応えうるものである。
そのためにも、公立学校に比べ財政基盤がぜい弱な私立学校の経営基盤の維持向上や教育環境の充実とともに、保護者の経済的負担の軽減などを図ることが強く求められている。
よって、国におかれては、公教育の重要な一翼を担う私立学校教育の現状と重要性を認識され、私学教育振興の一層の充実を図られるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
否決(共産提案、賛成:共産、反対:自民・民主・公明・創生)
円高対策・中小企業支援を求める意見書(案)
いま、欧米の経済悪化を背景にして、急激な円高が進んでいる。実勢とかけ離れた円高が進む大本には、大企業が下請け単価たたきや低賃金雇用の拡大など「国際競争力の強化」に突き進み、歴代政府が大企業減税などでそれを後押ししてきた経済構造がある。
この円高により、これまで長期に苦しんできた中小企業が、さらに大きな打撃を受け始めている。京都でも「現状では輸出すればするほど赤字」(医療用機器製造)、「親会社は円高を理由に、契約後もさらに単価の切り下げを言ってくる」(機械金属)、「円高で海外でも売れないが、逆に安い外国産ネクタイの輸入拡大に危機感」(西陣ネクタイ製造)など、深刻な影響が出始めており、緊急の対策が求められている。
よって、国におかれては、以下の対策を緊急に実施するよう強く要望する。
1 円高を理由とした発注打ち切りや下請け単価たたきなど、大企業による中小企業いじめを許さないための指導監督の強化をはかること。
2 中小企業金融円滑化法を延長し、金融機関に貸付条件変更へ柔軟な対応をするよう求め、さらに変更の際の保証料に国が補助すること。
3 雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金制度の3年間300日の支給限度日数の拡大等、雇用を支える制度の拡充をはかること。
4 円高体質の経済構造是正のため内需主導の政策へ転換し、アメリカ政府にはドル安是正を申し入れ、さらに投機マネー規制と通貨安定のための国際協議を呼びかけること。
5 国の責任において、地域職業訓練センターの機能を維持し、さらに充実させること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
可決(自民・民主・公明・創生 提案、賛成:全会派)
経済・雇用対策の迅速・着実な推進を求める意見書
我が国経済は、一昨年秋以降、米国に端を発した世界的金融危機の影響による景気後退から、自律的回復への基盤が整いつつあるかのように見えていたが、最近の予想を上回る円高により、急激に経済情勢が悪化傾向に転じた。
米国をはじめとする各国経済の減速等が、実態とかけ離れた急激な円高を招いていると言われているが、依然として、企業の設備投資が低い水準に留まり、失業率が高水準にあるという厳しい状況が続く中でのこのような事態は、我が国経済の将来に暗い影を落としている。
中でも、中小企業のウェイトが高い地方経済は、輸出関連大企業の取引に支えられている側面が大きく、円高による業績後退の影響を大きく被るとともに、円高が更に進行し、定着することとなれば、地方における生産拠点の海外移転が加速し、国内産業の空洞化と国内雇用の喪失が進行するという憂慮すべき事態に陥ることとなる。
また、現在のデフレ経済下、地方における設備投資や住宅投資は依然として低調で、巨額の需要不足が存在する中、地域経済への深刻な影響が続いている状況にあり、緊急かつ万全な経済・雇用対策の実施が強く求められている。
よって、国におかれては、本格的な景気回復等に向けた取組の早期実施はもとより、緊急対策として、次のとおり、中小企業等に対する円高対策及び雇用対策を速やかに講じられるよう、強く要望する。
1 円高・デフレ克服のための緊急かつ大規模な対応策の速やかな実行
2 下請中小企業に一方的な不利益が生じることがないよう、下請代金支払遅延等防止法に基づく指導の強化
3 緊急雇用対策基金事業の更なる充実、雇用調整助成金等の支給要件の拡充及び新卒者をはじめとする求職者に対する実効ある雇用確保対策の実施
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
否決(共産提案、賛成:共産、反対:自民・民主・公明・創生)
一括交付金化の中止を求める意見書(案)
政府は6月、福祉施設の最低基準を緩和・撤廃する「義務付け・枠付けの見直し」とともに、国庫補助・負担金の「一括交付金化」を来年度から導入することを主な内容とする地域主権戦略大綱を閣議決定した。
政府は、一括交付金にすれば地方が自主的に使えて無駄が省けるとしているが、地方への国の補助・負担金21兆円(2010年度予算)のうち、8割以上が社会保障と教育関係であり、その約9割は法律で定められた国の負担金である。これを、使途を定めない一括交付金とし、総額を減らせば、福祉や教育が大幅に削られることになる。これは、福祉や教育への国の責任を放棄するものである。自治体が最低基準を確保することも難しくなり、地域間格差はさらに広がらざるを得ない。
一括交付金については、全国知事会も「地方における財源総額が大幅に削減され、地方の権限・裁量の拡大につながらなかった、かつての『三位一体の改革』の二の舞になることを強く懸念している」と表明しているところである。
よって、国におかれては、一括交付金化を中止し、福祉や教育などへの国の責任を後退させず、地方自治体への財源を保障することを強く求める。
以上、地方自治法第99 条の規定により意見書を提出する。