資料ライブラリー

予算・決算特別委員会

府政報告 2018 13年2月予算特別委員会 光永・成宮知事総括質疑

2013/03/25 更新
この記事は 28 分で読めます。

●平成25年度予算特別委員会が2月22日に設置され、3月19日に知事総括質疑がおこなわれました。光永敦彦議員、成宮まり子議員の知事総括質疑と答弁の大要・他会派議員の質問項目をご紹介します。

光永 敦彦  知事総括質疑・・・・・ 1
成宮まり子  知事総括質疑・・・・・ 5
他会派議員の質問項目 ・・・・・・・ 8

予算特別委員会知事総括質疑
光永 敦彦(日本共産党・京都市左京区)2013年3月19日

14か月予算と経済対策について

【光永】 日本共産党議員団の光永敦彦です。まず私は安倍首相が農業や食の安全、国民皆保険、中小企業や地域経済の土台を壊すTPPへの参加表明したことに断固抗議し撤回を求めるものです。
それでは質問に入ります。2月大型補正予算と来年度当初予算案を加えた14か月予算についてうかがいます。
 今回の政府予算は一時的な財政出動、特に政府予算はそうですが、しかも大型事業の大盤振る舞いとなっています。一方、京都経済は財務事務所の発表した法人企業景気予測調査によると、この1~3月期で-16.4%、3期連続で悪化するなど、本当に異常ともいえる厳しい状況で、円安による原油高等も含め緊急の対応が求められています。
 そこで京都府が示している14か月予算の中で公共事業が前年度比133%にも膨れ上がる中、一つひとつが不要不急でないのか、府域や地元業者への経済効果がはたしてあるか、また、事業が適正に執行され、適正に管理ができるか、これらが重要と考えますが、その点についてどう対応されるか。また果たしてこれだけの予算と事業が適正に対応できるのか。この点について基本姿勢をまずうかがいます。
【知事】光永委員のご質問にお答えいたします。平成25年度当初予算案における経済対策であります。14か月予算という形になっておりますが、今回の予算案における投資的経費については、これはご指摘がありましたようにかなり厳しく短い時間の中でどれだけ経済的効果をしっかりと発現することができるか。となりますと、従来から計画していた、ある面では先送りされてきた河川整備や治山事業等の防災関係の対策、これをしっかりやっていく。それから、今までもとりかかっていて、ある面では計画とか、そうしたものが出来あがっていてわりと入りやすい前倒しの事業。府民公募型整備事業ですとか、福祉施設の整備ですとか、既にいろんな面で一定のものが出来あがっている事業を中心に組んでいったところです。それによって今までの問題点を解決できるために大きな役割を果たしておりますし、ある面では執行体制を考えれば、そういった事業を優先させていかなければならないというのも現実だというふうに思っております。今はやはり、経済が厳しい中で日本全国をあげて経済再生にとりくんでいる。そうした中でも、京都府といたしましても全力を尽くして取り組んでいく姿勢を明らかにしていくというのが府民のためにも私は必要ではないかと思ってこの予算を組ませていただいたところであります。
【光永・再質問】そこで、実際の執行ですね。その実態をみますと、例えば、公共事業では本議会でも問題となりましたけれども、最低制限価格を大幅に下回る71%もの低入札。これを京都府が再度認めて、そのことで今後下請けへのしわ寄せ、あるいは労働者にしわ寄せがいくことは、これは十分に予想ができます。また、これは府が直接発注するものではありませんけれども、府が補助する公共事業で、例えば平成23年度に開設をいたしました特別養護老人ホームが6カ所ありますが、その内1カ所以外は全部、東京や大阪を本社としたゼネコンが受注しております。老人保健施設で開設した4カ所のうち、3カ所は府外の大手ゼネコンが受注するということになっています。
また、執行体制でいうと、職員削減により振興局再編前に比べて土木事務所だけでは99人減っており、そのうち技術職員が49人も減っております。にもかかわらず、今回道路部分だけを見ても、今年度の年間121億円の予算に対し、2月補正予算だけでほぼ同額が措置された上に、さらに25年度当初予算もあるわけです。ですから、その上に2月補正でいうと来年の三月までに完成が迫られる。こういうことになっております。
また、府民公募型公共事業。先ほども答弁がありましたが、これでみると道路の改修やガードレールの設置など採択されたもののうち、丹後振興局管内でみると、執行出来たものがちょうど半分。50%になっています。府全体でも半分程度しか実施できておりませんし、残りは繰り越されています。ですから単年度事業でみると15億分くらい。前年度の繰り越しクラスで30億がようやく執行できるという状況で、それに今回は50億円さらに膨れ上がっています。このため、ある土木事務所では「非常事態宣言」が発せられておりますし、また発注業務も含めて民間に委託せざるを得ないという方針がすでに示されており、実際にすでに土木事務所の中には民間コンサル職員の机が並べられているというふうにも聞いております。まさにコンプライアンスの点でも問題があるのではないかということが危惧されるわけです。
これでは地元企業の健全育成や適正な執行が、私はできないじゃないかと考えます。そこで再度伺いますが、現場で先ほど紹介したこういう事態があることを知事はご存じかどうか。その点お聞かせ下さい。
【知事・再答弁】今回の経済対策につきましては、民間企業への委託発注ですとか、知識や経験を有する府市町村OB等の再任用、嘱託職員や業務補助のための臨時職員の活用、さらには社会人採用や前倒し採用等ですね、我々も非常時の体制を組んでおります。それはこれだけ国の経済対策の中で、京都の経済再生を行っていく。待っていたらこれは出来ないわけですから。そのまま終わってしまうので、じゃあやるなっていう話しになってしまいますのでね。それこそ今度は地域に対して回っていくものも回っていかなくなる。元気な臨時交付金もこなくなる。25年度の単独事業もできなくなる。そういう悪循環をつくるかどうかの瀬戸際で、今、府の職員をあげて頑張っているところであります。
【光永・再々質問】先ほども紹介しましたが、大きい予算がどんときた時に、結局大手企業がどんどん受けていく。しかも府外の企業が受けていくということになってしまったら、これは景気対策にもならないわけで、なお且つ執行体制で言うと先ほど紹介したとおりで、技術職員採用とおっしゃいますけれどもわずか5人ですよね。先ほど紹介したとおり49人減っているという事態になっているわけです。ですからこういう事業がきたときに、それがどう適正に執行されるか。ちゃんと地域に落ちるかということを私は調べなければならないと思う。
そこで、奈良県などは、そういう調査をしております。時間がありませんので簡単にだけ紹介いたします。例えば、県がかかわる公共事業の実態調査を行い、その企業の下請けに従事する労働者も全部調べあげて、設計労務単価を下回る最低賃金が奈良県は693円ですが、これに該当する労働者が9人おられたということも把握をされており、さらに元受けと下請けの賃金格差が1.3倍や、正規と非正規で1.6倍の賃金格差がある。こういうことも明らかされております。なぜ、奈良県がこういうことをやっておられるかというと、災害があって、災害復旧事業で残念ながら事故が起こったりもして、さらに人手不足があって事業の繰り越しをせざるを得なくて、これは奈良県としては大問題だから、地域経済にも影響があるので賃金の実態や下請けの実態をしっかりと掴もうじゃないか。公共事業の執行体制がどうなのかということを調べて調査されたわけです。こういう調査が私は今必要ではないかと考えますし、現場際の5人採用するといっても実際にはわずかで対応できていないという現実があるわけですから、そのあたりについても、私は今回執行責任者である知事がそういう実態も改めてつかむべきではないかと思いますが、この点いかがですか。
【知事・再答弁】ですから私どもは、公契約大綱を使いましてね、府内発注業者以外に受注をするのは、本当に例えば、橋りょうや長大トンネルや、それからのり面工事など特殊な技能を要するものについて、第三者の委員会の、きちっと報告をして、それの了承を得てやるというシステムを作っています。これだけのシステムを作っているところはあまりないと思うんですよね。そういう中で、出来る限り府内発注を今やっているところでありますし、そこにおいてはきちっとした契約書もとっておりますので、それに反するようなことがあれば我々は契約の解除も含めてきちっと対応してまいりたいと考えております
【光永・指摘要望】私どもは公契約条例をずっとつくるべきだと、下請けの賃金等もちゃんとつかんで、そこに事業がちゃんといく、労務単価が保障されるということを求めてきたわけです。先ほど、公契約大綱でとおっしゃいましたけれども、いくらそういう制度をつくって執行しているとおっしゃっても、私が紹介したとおりいろんな事態がすでに起こっているし、それは平年ベースの話ではなくて、今年の補正予算と来年度の当初予算で133%増えるわけですね。ですから、やはりそこについてはしっかりと実情もみて対応していくということになるわけです。同時にそもそも、これはアベノミクス予算で1年間あるいは2年間単位で強力に執行しなくてはいけない。こういう無理が現場にあるわけです。ですから、私どもが一貫して言っているのは、職員の前倒し採用をしっかり、さらに増やしてやるとか、土木事務所のあり方を見直すとか、公契約条例をしっかりつくるとか、経済波及効果が高い住宅リフォーム助成など、こういう事を今しっかりやって地域経済と地元業者さんと地元労働者に回す。そのことで内需を温めて力強い再生の道を歩む、この事が必要なんだということを強く求めて次の質問にうつります。

雇用対策について

【光永】次に深刻となる雇用問題についてうかがいます。
先日、記者会見で「まともに働きたい-202人の叫び」というものを発表しました。これは宇治市や京田辺市、京都市内のハローワーク前で16回にわたり議員団あげてのべ100名参加で一人ひとりから対面で丁寧に聞き取り、青年を中心に202人の方が応じていただいた結果をまとめたものです。
このグラフをご覧ください。前の職場の年収300万円未満が全体の78%にも上り、また仕事を辞めた理由は労働条件の酷さに加え、リストラや雇い止めなどの順になっています。私も多くの方からお話を聞きましたが、「高校卒業後にズーッと正社員で働いてきたが、事業所閉鎖で解雇。家族5人、どうしてくらしていけばいいのか」、「自動車製造の期間工で6カ月働き、延長を申し出たけれど、断られた」など真冬の調査で、雪がちらつく中で1時間近くもお話しされた方もあり、私も本当に胸に重く響きました。
勤労者の平均年収が97年から2012年の間に、全国平均で約70万円減に対し、京都は75万円も減っています。また非正規雇用が実に40%で全国に2番目に高い比率となっています。このため、一人ひとりにとっても、京都経済の再生にとっても、正規雇用の拡充や雇用の安定、賃金の引き上げが決定的に緊急の課題であることはあきらかです。
こうした中、私ども議員団は、先日退職強要の面談が実行されていると告発があったロームに申し入れを行いました。雇用を守るべき大手企業が率先して事実上の大量解雇を行っている現実に対し、企業は社会的責任があると考えたからです。そこで、大手企業の雇用や賃金引き上げについての社会的責任について、知事はどう考えるか、さらにどう対応を求めるか、お聞かせください。
【知事】雇用対策についてですが、社会の中で活動する企業としては、まず基本的に法を守り、そして企業と地域が共生していくというか、共に栄えていくような、そういう対応をしていく必要があるじゃないか、それが企業のためにもなるんだ、と思っています。私ども、資本主義の社会ですから、生産を社会化するわけにはいかないので、そういった中で企業に対して、責任と言うよりは、共生していくことが企業のためになりますよ、ということをしっかりと説いていくことが一番社会的な行動を求めるためにはいいのではないかと思っています。そうした中で、働く人が安心して働き続けられる労働環境の実現に向けまして、就労条件を改善することが重要でありますので、京都府と致しましても、先日京都労働局、京都市とともに経済界に対しまして、改めて雇用の確保や企業などの就労条件の改善についても申し入れを行ったところです。  
【光永・再質問】大きい企業と地域や労働者が共生していくことは当然大事なことですが、しかし先ほど紹介したアンケートにもありますように、実質共生していない、できていないんです。内部留保をため込む、その原資は労働者の首切りをしてやってる。これだけではないですよ、全国的に調べてもそうなっているんですよ。ですから、私は工業会などに要請されたとおっしゃたけれども、やはり内部留保に手を付けるということについては、知事はどう考えるかと言うことをお聞きしたいんです。私はロームのことを先ほど言いましたが、退職強要を事実上しているのではないかという抗議をしたわけですが、同時にたとえばロームは内部留保の0.19%を取り崩すだけで、毎月1万円の値上げができる、任天堂に至っては0.03%を取り崩すだけですよ。ですから、1年や短期の収益がどうかっていう話ではなくて、この10年単位でずっと体力をためて、その原資が全部労働者の首切りによってできているわけですから、だからその内部留保を取り崩してでも、そこを解決しなければ内需が温まっていかないではないですか、このデフレ経済を再生できないではないですか。
この内部留保をどうするかってことについて、答えてください。
【知事・再答弁】なんかまるで今の202名がロームを首になった人のような感じのお話ですが、ロームを辞めた、大企業を辞めた人が労働条件が悪くて困っていらっしゃるという意味ですか、まずすごい話に飛躍があると思います。その点を指摘をせざるを得ないですし、その中におきまして、さっき言いましたように、企業がそうした内部留保を取り崩せない状況の中には、非常にリーマンショック以来の厳しい状況や円高の状況があって、大変な将来の見通しの問題があった。それをできるだけ投資をしていくように経済環境を変えて、更に雇用の条件についてもアップするように求めていく、これをきちっと我々は要請しているわけで、その線にしたがってこれからも行動していきたいと思っています。
【光永・指摘要望】一人一人の人生がかかっている訳です。私らが調べた202人ですが、ですからそんな軽い答弁をしてもらっては困るんですよ。これは本当にひとり一人が首切られて生活ができないっていう事態が起こっている訳ですね。その時に体力のある企業が、やっぱり内部留保を崩してでもしっかり賃金を上げていく、雇用を確保する道を開く責任があるんじゃないですか。実際エコノミストという雑誌だって、この間「1~2%ぐらいは賃上げしても大丈夫だ」と、「余剰資金を蓄積している可能性が高い」、こういう指摘もあるわけですね。ですからこの春闘でも、一時金や定昇については、ようやく出始めたという報告がありますが、私はそれだけではなくて、大きな企業で体力があるところについては、これは率先して内部留保を取り崩してでもベースアップをしていくという道を開くというのが、これは京都経済にとっても、一人一人の労働者の生活を守るという点でも、これは絶対大事だということで、そういう意味では知事は政治家ですから、それに向かってよろしくお願いしますと要請するだけでなくて、そこまで踏み込んだ要請を、ぜひ府民の代表、府民の声を守る立場があるのだったらぜひ言っていただきたいと思います。

関西広域連合と道州制について

【光永】質問の最後に、関西広域連合と道州制について伺います。
私は何度もこの問題を取り上げてきましたが、ここにきて急速に道州制の動きがすすめられようとしています。知事が先の本会議で我が党加味根議員の質問に「国会議員の8割は道州制は賛成だ。道州制は世論」と言いまして、道州制への道を当然視されたと思います。道州制が争点になっていない選挙の結果をもとに、さらに選挙制度自身も非常に問題もあるなかで、それをもって道州制が信任されているのではないかというようなことを本会議場で言うのは間違っていると指摘したいと思います。
それで、知事が本会議で答弁された「滋賀との合併」という例示も、結局のところ財界がずっと言っているように大型事業や再開発を大阪中心で行うのか、ここにきて大阪だけで中心でやっては、滋賀や京都が大変になると気づかれたのか、やはり京都と滋賀が合併したほうがいいのか、大阪を抜いてそれ以外で合併したほうがいいのか、そういうことを言われているんではないかと思います。私が大事と思うのは、この論議は市町村がどうなるのか、市町村や皆さんの暮らしがどうなるのか、合併後の深刻な事態があるわけで、そこを置き去りにした論議は絶対だめだというふうに思います。そこで道州制に行かない、つまり現行の市町村、京都府、国という3層制の充実という選択肢は知事にはあるのかないのか、お答えください。
【知事】当然ありますよ。問題なのは、いま社会構造の変化に対して、どういう制度をとれば一番府民の皆さんのためにいい政治ができるのか、府を守る為でも県を守る為でもない。我々は府民のためにある地方公共団体ですから、どういう形をとれば一番いいのか。府を守る気は私はありません。その中において、府民を守る制度はメリット・デメリットを明らかにしてみんなで議論をしましょう、それにはいろいろな考え方がありますよ。そして心配しているのは、おっしゃったように、この前の選挙において、マニフェスト、選挙民に対する公約として、道州制をはっきりと掲げている人たち、争点になっているか、なっていないかは別として、そういうところがもう8割あるときに、そうした議論について何も考えていかないのは、おかしいんじゃないかということを申し上げたんです。
【光永・指摘要望】これは町村会も反対されていますので、やはり市町村のみなさん、あるいは合併後の大変な府民のみなさんの暮らし、ここについて真摯にむきあって、どうも京都府が検討していることや知事の発言を見ていると、本当に今の制度を充実させるという論議が全然抜けているんですね。しかも本会議の答弁を見ても道州制ありきとしか言わざるを得ないように、私は受け止めております。そのことを厳しく指摘して質問を終わります。

成宮まり子(日本共産党・京都市西京区)2013年3月19日

米軍Xバンド・レーダー配備について

【成宮】日本共産党の成宮まり子です。まず、在日米軍が、ミサイル探知用Xバンド・レーダーを京丹後市に配備しようとしている問題についてうかがいます。
京都府域に初めて、米軍の特権を保障する日米地位協定の対象となる米軍基地が置かれようとしており、府民全体にとって極めて重大な問題です。防衛省はすでに、府北部の市長・町長らに次々と面会し、京丹後市では住民説明会や市議会全員協議会も開かれるなど、急を告げる事態となっています。
6年前にレーダーが置かれた青森県・車力では、米軍関係者による女性宅への侵入、暴行・傷害で緊急逮捕、交通事故など9件もの事件が起き、海での遭難事故の時にも、飛行禁止区域で警察ヘリが捜索できないということまで起きているのです。
京丹後市民のみなさんからは、「米軍基地が来て、沖縄のような被害が起きないか」「電磁波の影響は大丈夫か」「ドクターヘリや観光への影響が心配」「攻撃の的にされるんじゃないのか」と、さまざまな不安の声があがっています。
そもそもこの計画は、日本国民を守るためではなく、アメリカ本土防衛のためのものです。米国防長官は「北朝鮮の核と長距離弾道ミサイルの開発を受け、米国本土防衛のため、Xバンド・レーダー配備を急ぐ」と言っているではありませんか。
そこでうかがいます。米軍レーダー配備について、防衛省は「スピード感を持ってとりくみたい」などとし、実際は、数カ月の間にも配備がされようとしているのです。だからこそ、京都府知事として「受入れはしない」と、今の時点で明確に示すべきと考えます。いかがですか。
【知事】Xバンド・レーダーですが、短絡的な話しでなく、一番の問題は北朝鮮どうするかです。北朝鮮の労働党の機関紙は日本も核攻撃の対象になるとおっしゃっている。そうしたことに対してどういう形で防衛態勢を取るのか。Xバンド・レーダーというのは日本の自衛隊のほうも情報を共有できるのではなかったですか。アメリカ軍はそうかもしれないが日本の自衛隊はそのために使えるのです。そうした点を踏まえてどういう形で国防上の問題を整理するのか。これは国の役割。それに対して住民の不安がある。住民の安心・安全・健康の問題も含めて風評被害の問題も含めて、この安心・安全についてはきちっと問いたださなくてはならない。まず地元住民のみなさんが、どういう事態なのかどういう状況なのかを理解する必要がある。従って私どもは防衛省に対して地元住民の説明をお願いした。そうしてその中で、安心・安全の問題と国防の問題を取り次ぐ広域的行政体として、私はこれから調整に入っていくそういう覚悟でいます。
【成宮・再質問】北朝鮮の問題とおっしゃいました。ミサイルや核の動きは絶対に許すわけにはいきませんが、軍事的な対応に対してこちらも軍事的に事を構えると、こういうことでは事態を一層悪くすることにつながりかねないではありませんか。そして今、「自衛隊にも情報が流れる」とおっしゃいましたけれども、ということはアメリカと日本の自衛隊がいっしょに戦う、戦闘に参加することも想定されるわけで、まさに憲法が禁止している集団的自衛権の行使に道を開く、(京都に米レーダーを置くことは)そういう役割にあると言わなければなりません。
 知事、今の段階から、命と安全を守るという立場に立つならば、きっぱりと集団的自衛権の問題考えても、憲法9条の問題考えても、受け入れはするべきではない、こう考えますが再度お答えください。
【知事・再答弁】考え方がちがって答弁が難しいのですが。片方日本人の国民を拉致してきた。また、大韓航空機事件を起こした、さらに核実験を積み重ねて近隣の国を火の海にすると言っている。どうやってそれを、成宮議員はそれを防げるのですか。その自信はおありなのですか。そうした問題を踏まえずして、そういったことをのべるのは全く無責任極まりないと私は思っております。
【成宮・指摘要望】 アメリカの当局が、北朝鮮が狙っているのはアメリカ本土なのだと、つまり、ハワイやグアムやワシントンなんだと、その本土防衛のためのレーダーの最先端基地を京丹後市に置く、と言っているわけで、問題を知事の答弁は捻じ曲げるものだという様に思います。
改めて府民の不安の声もあるわけですから、これはきっぱりと拒否をすべきだということを強く求めて次の質問に移ります。

北山文化環境ゾーンについて

【成宮】 次に、北山文化環境ゾーン構想についてです。
計画の実際をみますと、「にぎわい・活性化」などのコンセプトが目立ち、これで本当に府民の願いにこたえるものなのかと、疑問です。
例えば、府立植物園は、府民の貴重な宝であり、保有植物12,000種、世界中から日本に初めてやってくる植物の栽培ノウハウを含めて、栽培技術は高く国内外で評価されています。ここには、単なる公園ではなく「生きた植物の博物館」といえるホンモノの魅力があると思います。
ところが、いま進行中の計画はどうでしょう。北山通側の森やバックヤードを切り下げて建物を建て、わざわざ大阪のイタリアン・カフェを呼んでくる。カフェは、1箇所ではなく3箇所も募集するなど、植物園整備計画にもなかったことがトップダウンで進められようとしているではありませんか。
先日、植物園に毎日通っておられるという方からお手紙をいただきました。「最近、大木を切り倒して、人工的なカフェや門などをつくっているが、本来の魅力をぶちこわすようなことばかりだ。カフェなど周りにあるじゃないか。入場料の60歳代有料化で、楽しみを奪わないでほしい」、こういう怒りの声です。この声のとおり、植物園の本来の魅力をゆがめ、削り取り、一方で、いちばん利用の多い層に負担を増やすようなことは、やめるべきです。
また、新総合資料館についても、「ガラス張り」「見える化」などの構想ですが、「これで、国宝や重要文化財含む貴重な資料の収集・保存という、資料館本来の仕事ができるのか」という疑問の声が、利用者からも現場職員からも寄せられています。
歴史的に築かれてきた植物園や、貴重な資料の収集・保存という資料館の本来の役割や魅力があり、それらをふくめた北山地域の町並みがあります。それをゆがめ、「にぎわい」「活性化」などとして、エンターテイメント性ばかりを目立たせて「北山文化環境ゾーン構想」が進んでいるといわざるをえません。この構想は見直し、府民と現場職員の意見と議論をふまえた計画にするべきと考えますが、いかがですか。
【知事答弁】 私は共産党は国民を守らない党だということがよくわかりました。それだけは申し述べておきます。北朝鮮に対してなんというか、全然理解できない。
植物園の再生事業ですけれども、何かちっちゃいところといいますか、一番大きなところは何かというと、一番お金を使っているのは、実は水道の配管とか、電線の共同溝とか、園路とか、伝統園芸展示場だとか、昼夜逆転館及び高山植物室とか、桜の林の再生とか、四季の丘とかね、植物物をしっかり育てて、見守っていただけるような再生のところにお金を入れているのです。
 カフェとは、それはある程度の収入も得て、その中で自転できるようにしていく。あとはトイレとかそういうやつですからね。カフェとかトイレはエンターテイメントではありません。これはアメニティの問題でありますので、それはちゃんと訂正させていただきたいと思います。
 そうした点では、本当に違うところだけとらえて、一生懸命膨大に言っているけれども、まず全体の予算の中で、それが何%あって、そして、どういう形で植物を守るための再生事業が取り組まれているのかをよく勉強していただきたいと思います。
資料館についても、基本的に工事の変更をしたのは、資料の保存について十分なさらに追加措置を講じていきたい、これは、有識者も入れて、資料をどういうふうに扱うか、それを府民のみなさんにどう提供するか、このことをしっかりと会議で検討してやっているので、ガラス張りだから違うとか、そんな変な言いがかりはやめていただきたいと思います。
【成宮・指摘要望】 まず知事、「共産党は国民を守らない」などとそんなデマをこういうところでやめていただきたいと思います。戦前戦後一貫して侵略戦争に反対し、憲法9条と平和を守り頑張ってきた公党に対してそういうデマは本当にやめていただきたい。 
そして、この北山文化環境ゾーンについては、私は本来の仕事はなにかということが、問われているというふうに思うのですね。自治体が本来やるべきは、民間の再開発で自然や環境が破壊されるのを規制し食い止めることではないかと思うのです。
ところが、いま府がやっているのは、府立植物園でいえば府民と職員の共同で営々と築き上げてきたホンモノの魅力、「ほんまもん」とされてきましたが、それをゆがめ、削り取り、再開発を押しつける、まさに正反対のことではないかと言っているのです。このさい、構想全体を見直して、自治体が本来やるべき、開発を規制する、本当の意味で文化と環境を守る立場に立つよう求めて、時間の都合で次に進みたいと思います。

高校教育制度について

【成宮】高校教育制度についてです。
「京都市・乙訓地域の新しい高校教育制度」が、府教育委員会により、多くの不安と疑問の声を押し切って決定され、1年後の入試から導入されようとしています。
通学圏を1つにし、総合選抜制を廃止して単独選抜制とすることにより、「自由に選べる」「努力すれば行きたい高校に行ける」として、結局は「合格・不合格は自己責任」だということが、生徒と保護者に押しつけられます。すでに保護者らには「大変なことになった。うちの子は行きたい高校に行けるのか」と不安が渦巻いています。
あわせて、府立高校には「特色化」として、各校が「特色」を打ち出すことが迫られ、「難関大学への進学実績」や「部活動実績」「就職実績」などで競わされ、学校予算でも「特色」で「格差」をつけることを当然とする。さらに中学校でも、学力診断テストが3年生から2年生、1年生にまで広げられ、府教育委員会は「3年以内に全国トップ10をめざす」などと言いますが、受験競争をいっそうひどくするばかりで、どの子にも豊かな学力を等しく保障する、本来の公教育にふさわしくはないと考えます。
こうした改革、とりわけ「高校改革」により、すでに山城通学圏や、府中・北部でも、高校の格差や序列化は深刻な事態となっています。ある高校に専門学科ができると志願者が倍増し、一方でその近くの高校は定員割れをし、学力や生活に課題を抱える生徒が集中し固定化する。授業さえ困難になるなど、地域でも大問題になっているではありませんか。
そこでうかがいます。京都市内・乙訓地域で導入される「新制度」は、府内全域ですすむ高校の格差と序列化にいっそう拍車をかけ、子どもも、中学・高校も、競争に追い立てるものではありませんか。予算でも格差をつけ固定化するやり方はふさわしくないと考えますが、いかがですか。
(知事答弁を求めていないにもかかわらず知事が発言)
【知事】デマというような言い方をされたので、真意だけきちっと申しあげておきますけれども、私が申したのは、成宮さんの方法では、日本の国民が守れないんじゃないかってことを申し上げたのでありまして、私はデマを申し上げたわけでも何でもない、その方法では守れないのだという自分の・・・。
(成宮委員が「答弁を求めていない、時間がないのに発言をやめよ」と抗議)
【知事】守れない党じゃありませんか。そういうやり方では守れないんじゃないかということを申し上げたということを、一応、公党に対するあれになりますので、弁解させていただきたいと思います。
【教育長】京都市・乙訓地域の新しい高校教育制度についてでありますが、中学生が希望する高校を主体的に選べるよう、多くの生徒や保護者の声にこたえ、見直したところであります。
先ほどご指摘がありましたが、この間実施をした保護者への説明会において、我々がとったアンケートでは、「選択肢が広がり良くなった」など、新しい制度に期待する多くの声をお聞きしているところです。
各高校には、さまざまな能力や希望をもった生徒が入学してきておりますが、こうした生徒に対応していくためには、どの高校も中身は同じという画一的な教育内容を押し付けるのではなくて、各高校が生徒の状況に応じて多様な教育内容を準備し、魅力づくりに努めていくことが必要であります。
新しい制度は、将来の夢や目標をもった生徒一人ひとりを大切にし、生徒の多様な個性や能力を最大限に伸ばそうとするものでありまして、決して競争をあおるようなものではありません。また、特色化事業についても、生徒一人ひとりをしっかりと伸ばしていくための予算をお願いしており、ご指摘のような予算で格差をつけて固定化をさせるというようなものではありません。例えば、京都フロンティア校支援事業では、高校が自ら企画する多彩な魅力づくりを支援するものであり、大学進学だけを重視したり、特定の学校だけ集中して予算をつけたりするものではなくて、すべての高校の特色づくりを支援するものであります。
教育委員会としては、入学してきたすべての府立高校生が、夢や希望をもって意欲的に高校生活が送れるよう、魅力ある学校づくりに努めてまいりたいと考えております。
【成宮・再質問】 説明会でよくわかっていただいたとおっしゃいましたけれども、渦中にある、保護者や子どもたちの思いを、想像されたことがあるのでしょうか。
現場では、この春、中学3年生になる子が「私、もしかして近くの高校に行けないかも知れん。ごめん、お母さん」と不安を訴えておられました。中学の先生は「生徒が将来や人生を考える掛け替えのない時期に、どうやって進路指導をすればいいのか、教育委員会からは何も示されない」と悩んでおられます。小学校の前で進学塾がチラシを配り、「高校制度が変わります。学力の高い子にとってはよい制度だけれど、これまで以上に受験準備が、小学生から必要です」といっているのです。中学生、小学生の保護者まで「こうなったら、うちも塾通いを考えないといけない」と戦々恐々している、これが現場で起こっていることです。
そういう、たくさんの不安や疑問の声こそ、新制度が、子どもと保護者の願いに背いていることの何よりの証明ではないですか。再度お答えください。
【教育長・再答弁】どういうことをもって序列化とおっしゃっているのかが問題だと思うのですね。
塾のようなランキングのような見方をするというのは、少し一面的すぎるのかなと私は思っておりまして、例えば、全国大会でサッカーで準優勝するような学校と、大学進学が多い学校とどうやって比較するのですか。それぞれの得意な分野をやっぱり用意をして、それを伸ばすというのが私どもの役割だというふうに考えております
【成宮 指摘・要望】さまざまな特色があるとおっしゃいますけれども、結局は、学力試験で最低の合格点数で切られて合格、不合格が決まるわけでしょう。いまね、それぞれが選んだところがそれぞれの責任なんだという制度に変えられようとしている、これこそ究極の「自己責任」だと思うのです。ここを選んだあなたの責任ですよと、そういうことが現場に押し付けられようとしているのですよ。
経済格差が、学力格差につながり、子どもの進路にも影を落としている、そういう中で、格差を是正するのが教育行政の仕事のはずなのに、いっそう拡大してはいけないと思います。「新制度」「高校改革」はやめるべきだ、このことを厳しく指摘して、終わります。ありがとうございました。

≪他会派議員質問項目≫

■前波健史(自民・京都市伏見区)

1.平成25年度当初予算案について

2.「海の京都」による府北部の観光振興

3.医師確保対策

4.京都動物愛護センター(仮称)

5.少年非行防止

■桂川孝裕(自民・亀岡市)

1.専用球技場整備

2.通学路の安全対策

3.北山文化環境ゾーン

4.府内産木材の利活用と森林環境税の導入

■兎本和久(自民・木津川市及び相楽郡)

1.中小企業対策

2.道路整備

3.府立高校の特色づくり 

■平井斉己(民主・京都市北区)

1.平成25年度当初予算案について

2.障がい者の就労支援

3.中学生の学力充実対策

■中小路健吾(民主・長岡京市及び大山崎町)

1.社団法人京都府森と緑の公社について

2.京都第二外環状道路の活用

■諸岡美津(公明・京都市右京区)

1.環境・エネルギー問題

2.保育行政について