2024年6月定例会を終えて│団長談話
2024年6月定例会を終えて
2024年7月5日
日本共産党京都府会議員団
団 長 島 田 け い 子
6月10日に開会した定例府議会が6月28日に閉会した。
今議会は、日本共産党のしんぶん赤旗日曜版のスクープに端を発した、自民党の政治資金パーティによる組織的裏金づくりが大問題となり、物価高、資材高騰、実質賃金引下げなど、30年にわたる自民党政治の行き詰まりと、転換の必要性が国民の共通認識となる中開かれた。
わが党議員団は、5月27日に発表した「西脇府政2期目の折り返し点にあたって」を踏まえ、「国の実施機関」となってしまった西脇府政の実態を告発し、転換の必要性を国の政治と結んで明らかにするとともに、切実な暮らしの願いをかかげ、府民の皆さんの運動と連帯し、攻勢的に論戦した。
1、昨年12月に沖縄県内で16歳未満の少女を誘拐し、自宅に連れ込み、同意なくわいせつな行為をしたとして、那覇地検がわいせつ目的誘拐と不同意性交の罪で在沖縄米空軍兵長を起訴していたことが、6月25日に報道により明らかとなった。
わが党議員団は、閉会本会議討論で「事件発生から6カ月物間、日米両政府が共謀して事件の隠蔽を図った疑念は拭えない」とし、「少女の人権と尊厳をふみにじる卑劣な蛮行に満身の怒りを込めて抗議」した。
その後、沖縄米兵らによる性犯罪が23年以降未発表が5件となることが明らかとなり、日本政府の姿勢が厳しく問われている。
2、本議会に提案された議案11件のうち、第2号議案「文化が活きる京都の推進に関する条例制定の件」、第4号議案「京都府府税条例等一部改正の件」に反対した。
第2号議案「文化が活きる京都の推進に関する条例制定の件」は、2018年策定の「京都府文化力による未来づくり条例」を廃止し、新たに制定するものである。しかし、その内容には大きな問題をはらんでいる。反対の理由の第一は、国会において全会一致で「表現の自由」が盛り込まれた「文化芸術振興基本法」を踏まえ、制定するものであるにもかかわらず、その重要な理念が明記されていないためである。
第二は、条例前文に「企業活動を含めて、府民の多様な文化的経済的諸活動に京都の文化を生かしていく」とされ、審議会で委員から「儲かる分野の芸術のみが『推し』とされた30年間の日本の文化政策は失敗であり、文化政策の根本的転換が必要」と指摘されたとおり、文化を経済的利益追求の道具として利用しようとしているためである。そのうえ、今回廃止する「京都府文化力による未来づくり条例」には盛り込まれていた、施策体系を入れず、理念条例としたことで、今後の基本方針や計画、施策について白紙委任をすることになるためである。
第三に、基本的施策や条例には対象とするものや、審議会概要に会議資料も示されていない等、文化芸術を創造し、享受する立場の幅広い府民の意見が反映されていないためである。
第四に、芸術家団体への補助の縮小や廃止、子ども文化会館の突然の廃止、府立文化芸術施設し整備事業費の削減など、廃止される「京都府文化力による未来づくり条例」及び、「基本計画」の総括が十分されていないためである。
第4号議案、「京都府府税条例等一部改正の件」は、地方税法等の一部改正に伴い、外形標準課税の適用対象について、一定の基準を追加し、資本金1億円以下の中小企業の「資本金の減資」を「税逃れ対策」とレッテルを張り、対象に含めようとするものである。そもそも外形標準課税は、資本金や従業員給与などにまで課税するもので税の応能負担原則とは相いれず、しかも京都の実態について「把握できていない」と答弁し、実態も踏まえないまま課税対象の拡大を進めることは問題である。
なお、賛成した1号議案「令和6年度京都府一般会計補正予算(第1号)について、まず、財政調整基金を取り崩し財源としたが、今回、充当する一般財源部分のほとんどが、大阪・関西万博関連経費となっており、「府民サービスの向上」とはかけ離れたものとなっていること、また、「大阪・関西万博きょうとの魅力発信事業費」として2,000万円と債務負担行為6,000万円の計8,000万円について、関西パビリオン多目的エリアでわずか2週間のイベントのためのもので、野放図に税金投入することは認められないこと、さらに「けいはんな次世代技術基盤整備事業費」は、「けいはんな万博」や万博終了後におけるロボットの遠隔操作・自動運転等の持続可能な環境整備の構築に向けて、精華大通りで通信環境や安全性を向上させる設備を整備するもので、万博の機運醸成のための事業であり、今必要な事業ではないことを指摘し、代表質問、一般質問、常任委員会でも、「大阪・関西万博」は中止しかないことを厳しく求めた。
3、本議会には、人事に関する6議案が追加提案された。
古川副知事の再任には保留し、鈴木副知事の退任に伴う武田副知事の任命同意には反対した。副知事の人事にあたってわが党議員団は、西脇府政のもとで任命されることから、その政治的立場には賛成できないが、内部登用であるため、よほど人物的に問題がない以上反対せず保留としてきた。一方、この間京都府は「特定課題担当副知事」として三人目を中央省庁から招へいしてきたが、三人も副知事は必要なく、しかも特定課題を推進するための天下り人事には反対である。
4、党議員団は、裏金問題や戦争する国づくりなど国政の重要な問題について、祝園弾薬庫の増強の動きと反対運動の広がりを紹介しつつ論戦するとともに、府民の暮らしの実態等を取り上げ、中小企業支援と賃上げ、中学校給食の無償化や大学学費負担の軽減策など追及した。
こうした中、代表質問で「子育て環境日本一推進戦略」の重点戦略に子育ての経済的負担の軽減が示されていないことを告発し、京都で取り組まれている「学費ゼロプロジェクト」でつかんだ学生の実態と要求を示し、府立大学や府立医大の学費軽減や、府独自の給付制奨学金の創設を、京都でこそ実現すべき等と求めた。知事は「大学生が経済的理由で進級をあきらめることがないよう、先日の国への政策提案においても、改めて所得制限の緩和など支援制度の拡充を盛り込んだ」と述べたが、京都府として実施する姿勢は示さなかった。
また、全国的に重大な問題となっている「PFAS」について、京都府における立ち入り調査を自衛隊基地も含め行うよう厳しく求めたが、理事者は「現在のところ、立ち入り調査を行う予定はございません」と背を向けた。
さらに、京都府教育委員会が教員免許を持たない者に臨時免許、特別免許を交付し、小学校で担任も含め任用していた事が明らかとなり、「教員の抜本的増員と処遇改善こそ必要」で、臨時免許・特別免許の交付を「主な対策とすべきでない」と求めた。教育長は「人材の確保を図るとともに、様々な経験を有する方を任用することにより、教育の多様化への対応や学校の活性化を図るもの」とし、現状を追認する姿勢を示した。
5、北陸新幹線敦賀-大阪間の延伸計画は、世論と運動と結んだ論戦により、行き詰まりがいっそう明らかとなっているにも関わらず、立ち止まることなく進める姿勢が浮き彫りとなった。
この問題をめぐっては、リニア中央新幹線の掘削工事で岐阜県瑞浪市の井戸やため池の水が枯渇し14 箇所も被害を受けていることも示し、延伸計画中止の決断を迫った。こうした中、政策環境建設常任委員会で四方府議(自民)が「(京都府は財政負担について『受益にもとづく負担』と言ってきたが)、京都府に受益などない。誰も新幹線なんて望んでいない」と質問するなど、西田昌司参議院議員が新聞紙上で訴えた「地上ルート」や米原ルートも含め、延伸そのものを止めるしかない状況に追い込まれている。
それでも知事は「日本海国土軸の一部を形成致しますとともに、大規模災害時において東海道新幹線の代替機能を果たし、京都府域はもとより関西全体の発展につながる国家プロジェクトであると認識をしております」と毎議会同様の答弁を繰り返し、推進の姿勢を示した。
6、向日町競輪場余剰地でのアリーナ建設について、代表質問で「向日市での京都アリーナ(仮称)は一度立ち止まり、住民合意のまちづくりを」と質したが、知事は「スポーツのほかに文化イベントやコンベンションなどの多用途利用に対応するため、民間事業者のノウハウや創意工夫を最大限に引き出し、利用者満足度の向上や府民負担の軽減につなげていくことが重要」として、6月7・9日に403人が参加して行われた、アリーナ建設に関する「府民説明会」で「今回の説明会の前に、もう5月には事業者の公募が始まっている。京都府や向日市の考え方に疑念を持っている」「北山エリアの検討状況と比べても市民の意見が軽んじられている」等、さまざまに噴出した意見に対して、まともに向き合わない姿勢を示した。
このため、6月24日に党議員団は向日市議員団と連名で「京都府向日町競輪場における京都アリーナ(仮称)建設計画は見直しを」とする見解を発表し、まちづくりの課題である、府道拡幅整備が計画実施の大前提であり、「アリーナ建設ありき」の姿勢を改めるよう求めた。
7、6月27日、維新・国民議員団所属の上倉府議(維新)が、政治資金収支報告書の修正届が提出されたことが報道された。
この問題は、3月19日の理事調整会議で、上倉府議が謝罪されたとおり、自身の個人事務所に政務活動費を100%充当していたにも関わらず、政治活動や選挙活動を行っていたことを認め、修正申告を予定していたものである。しかし、なぜここまで修正に時間がかかったのか、なぜ3月の謝罪時には説明がなかった駐車場や水光熱費が含まれたのか、なぜ4年間もの修正なのか、なぜ案分率が一律90%なのか等について、府民にも議会にも何ひとつ説明がないが、府民の税金の扱いについて、本人および会派が説明責任を果たすべきである。これらについて、党議員団は理事会で厳しく指摘し、他会派からも「ご本人が府民に説明すべき」など厳しい意見が相次いだ。しかし、維新・国民議員団の酒井代表幹事は「まだ精査がすべて終わっていないため、折を見て説明したい」にとどめた。党議員団は、今後も厳しく説明を求めるものである。
8、本議会には、京都医労連から「ケア労働者の持続的な賃上げと人員確保の保障を国に求める意見書提出に関する請願」、新日本婦人の会京都府本部から「訪問介護費の引き下げ撤回と、介護報酬引き上げの再改定を早急に行うことを求めることに関する請願」及び「馬場橋の人道橋設置に関する請願」が提出された。しかし、わが党以外の会派がすべて反対し否決した。
また、請願も踏まえ、党議員団は「国の権限を強化し、地方自治を踏みじみる改正地方自治法の撤回を求める意見書」案、「企業・団体献金の全面禁止、裏金事件の全容解明を求める意見書」案、「核兵器禁止条約への参加と敵基地攻撃能力保有の中止を求める意見書」案をはじめ、意見書案9件および決議案1件を提案したが、請願と同様に、わが党議員団以外の会派がすべて反対し否決した。党議員団は、自民・府民クラブ・公明3会派提案の「外国法人等による土地の取得及び利用を制限するための法整備を求める意見書」案及び「『こども誰でも通園制度』の本格実施に向けた支援の拡充を求める意見書」案の2件に反対した。
先の国会で、「戦争する国づくり」の体制を整えるいくつもの法整備が、翼賛的に強行される等、自民党政治の行き詰まりを、反動的に打開する動きが強まっている。一方7月7日投開票の東京都知事選挙や中京区補欠選挙で、市民との共同の力で政治を動かす流れも広がっている。わが党議員団は、次の京都府知事選挙を展望しつつ、暮らしの願いに寄り添う草の根の党として奮闘するとともに、来るべき総選挙、来年の参議院選挙で勝利するため、全力をあげるものである。
以上